久々の日曜日更新!!

 少しずつながらも書いている蔵間マリコです。
 さて日曜日ですので、いつものコーナーを更新しますよー。貧乏高校生の夏目大和と、ネコ耳宇宙人のデュタ、ミミとミューナとの共同生活を書いたオリジナルのSFファンタジーライトノベル『彼女たちの極秘事項(トップシークレット)』、略してカノゴクを。
 いや~、日曜日更新は3週間ぶりですねえ。先々週は忙しくて日曜日に更新できず、先週は日曜日にスポーツセンターでダイエットをしていたから体力切れとタイミングを逸していましたからねえ。毎週更新時はしているものの、これじゃあ締りがありませんよね。日曜日に更新すると言った以上は、日曜日に更新しないと!!
 とまあ、前置きはこれぐらいにして、そろそろ本編へと入らせてもらいます。先に言っておきますが、お世辞にも上手とは言い難い内容かもしれません。それでも読んでくれると非常に有り難いです。
 それでは、今回のカノゴクをどうぞ。 

第20話 ある夏の物語(4)
 
 パトリック・ゴーマン国立公園。
 都市部から北西25kmほど離れた山間部の頂上に位置する施設。
 ベンチャー企業家として大成したパトリック・ゴーマンが、政界に参戦した記念として500億円という途方もない財を投げ、設立した公園。最初こそは景観を損なうなどの様々な反対意見があったものの、いざ開園するとその意見もパタリと消えた。美しい風景に、2000年以上の連綿と続く歴史が綴られた歴史資料館。現在では国民からも愛される公園として、国内外からの観光客が多く訪れる。
 中でも、1週間に1回土曜日のパトリック・ゴーマンの講演会は人気のイベントだ。毎回違ったプログラム内容と、会社経営のノウハウ、そして議員としての理念と情熱。それを聞いた人々は、感動を覚え、記憶に深く刻み付け、支持をする。これがこの公園が盛況している最大の理由である。
 その公園の片隅には、パトリック・ゴーマン本人が住む屋敷が点在している。広さこそはそれなりに広いものの、気取ったものはあまりなく、慎ましさすら見え隠れする。有力議員が住む屋敷としては、かなり質素なものと言える。勿論ながらも、内観も同様である。
 その屋敷の一室の窓から外を覗き込みながら、高級葉巻を吸う男が一人。ノンブランドでいながらもそれなりに上質な黒いスーツを着込み、知的さを匂わせる金縁の眼鏡、しっかりと整えられた黒髪の角刈りが特徴的な中肉中背の男。
 この男こそが、公園の創設者であり、屋敷の主であるパトリック・ゴーマンである。
「外を見てなにかあるのかしら? もしかして、侵入者?」
「いや、ちょっと気分転換にな。普段から取り繕うのも、なかなかと肩が凝るもんでな」
 顔を見ることもなく、パトリックは後ろのピンクスーツの大柄な女装男性に返答した。
「その気持ちは私にも分かるわ。本当ならこんなものは着込みたくもないってのにね」
「はははは、そっちの意味ですか。それは失礼」
 パトリックは公の場と変わらぬ柔らかい笑いをした。もっとも、その笑いは作り笑いにすぎないが。
「ところで私のもてなしはどうかね? この国一番のものばかりを使ったフルコースだ」
「まーまーといったところかしら? もっと油をジャブジャブ使ってもいいぐらいだけど」
「では、次回以降はシェフにそう伝えておきますよ」
 パトリックは、短くなった高級葉巻をアンテナ状の耳をした機械人形(オートマタ)のメイドの手にグリグリと押し当て、火を消す。痛みも悲しみも全くないメイドは、そのままそれを握ったまま部屋を退出した。
「料理もいいけど、売れ行きはどうなのよ? 嗅ぎ回る奴とかいないの?」
「当初の予定よりも、120%ほどの売り上げをマークしております。販売ルートもバレないためにも十重二十重に策を施して、警察にも足がつかないように施しています。仮に警察が入ったとしても、決定的証拠を掴まれるなんてことはありません」
 男は先ほどとは違う笑顔を見せた。彼の本質である、邪悪な笑みを。
「では、製造現場を観に行きますか?」
「それはいいね!! あれを見ていると、本当に気持ちがいいんだわ!! 金やダイヤモンド、いやそれ以上にものですわ!!」
 大柄な女装男性は椅子から離れたと同時に、テーブルを両手で強く突いた。すると、テーブルが不自然に中央から真っ二つになってしまったではないか。
 しかし、パトリックはそれを気にすることなどなかった。技術及び資金出資者である、あの男を怒らせたりでもしたら何が起こるか分からないことぐらい理解しているからだ。
 パトリックは、女装男性を連れて書斎へと入った。
 いや、そこは書斎などではなかった。
 本来、書斎があるはずの部屋は、暗く冷たく無機質な鉄製の床と壁と天井に囲まれた通路へと繋がっていた。
 これだけでも不可解な現象だが、これ以上に不可解な点がある。通路の長さが、明らかに屋敷の端から端までよりも長いという点だ。
 それもそのはず。次元転移ゲートによって、こことは別の場所へ空間を繋げているからだ。実際、この通路は屋敷より地下300mも掘り下げた場所に繋がっている。どうやってこのような空間を作ったのかは不明だが、少なくとも人の手では達成できるものではない。
 そして、その通路の奥には、いかにも何重にもロックが施された扉が立ちはだかっていた。
 パトリックは全てのロックを手早く解除をする。
 ロックを解除したその先、そこには地球のものとは思えない機械の数々が並んだ広大な空間へと繋がっていた。
 騒音とも言えるぐらいに耳が痛くなる機械の作業音に、触れれば大火傷をしかねない蒸気、めまぐるしく動く謎の機械群。
「かなり捗っているようねえ」
「ええ、工場は24時間フル稼働ですので。このぐらいは当たり前かと」
「でも、質はどうかしら? 質が悪かったら、売れるものも売れないわな」
 女装男性は、ピストン式機械の隣にあるコンテナボックスに手を突っ込んだ。
「ふ~む、まあまあですこと」
 女装男性の手からは、白くきめ細かい結晶状の物質が零れ落ちた。
 その結晶は宝石のように綺麗に輝きながらも、悪魔の誘いかと思わせる危険な輝きを放つ。
 匂いはバニラのような甘ったるい香りを漂わせ、脳髄の奥底から摂取したいと訴える。
 しかし、これを摂取すれば最後、枯木のように痩せ細って死ぬまで摂取しなければならない。
 そう、この結晶の正体は、この国で蔓延している忌まわしき薬物、パライゾである。
「もう少し純度が高ければもっと高値で売れるでしょうけど、ここの工場の設備でしたらこんなものでしょうかね? ま、このまま頑張りなさい」
「パライゾもいいですが、それよりも見せたいものがあります」
「もしかして、あちらも完成したのかしら? 随分と手際がいいわね、ドラッグ王さん」
「ドラッグ王は昔の呼び名ですよ。今は次期大統領候補ですから、ハハハハ」
 ドラッグ王は、パライゾの精製工場よりも奥の鉄扉へと向かった。
 先ほどよりも厳重なセキュリティを解除して開いた先、そこには先ほど以上の異様で異常な光景が広がっていた。
 何列も並ぶ緑色の液体に満たされたガラス製のシリンダー。その中には、数本のコードと酸素マスクに繋がれたまま眠るジャケット姿の鉄仮面の男たち。
「これが私の自信作、超人兵器でございます。あなた方の強化技術をパライゾ中毒者で試してみました。結果、あの死に体がヘビー級ボクサーチャンピオンやフルマラソン世界記録保持者どころではない超人的な身体能力を得ました」
 パトリックは右側に見える強化ガラスの窓を指差した。
 強化ガラスの向こう、そこでは1人のジャケット姿の鉄仮面の男が、5匹のライオンを相手にしていた。いや、既に2匹ほど惨殺死体になっているから正しくは3匹のライオンというべきか。その残り3匹のライオンも深い傷を負っている。
 だが、真に恐るべきはジャケット姿の男。男は武器も何も持っておらず、己の筋力のみでライオンを圧倒しているのだ。
「ガルルルゥ!!」
 2匹のライオンがほぼ同時のタイミングで両翼から飛びかかってきた。キレはないが、それでも常人ならば避けることの出来ぬ俊敏さと威圧感だ。
 しかし、超人兵器には取るに足らぬことだった。
 超人兵器は飛びかかるライオン2匹に対して両手で手刀を繰り出し、首へと抉りこませる。反撃する力を奪われた2匹のライオンは、勢いのままに首をそのまま胴体から切断された。
 噴水のように切断面から吹き出す2匹のライオンの血。それを見たライオンは本能で危険を察知し、逃げようとするが、逃げる場所などなかった。
 それから5秒後、最後の1匹もズタズタに引き裂かれて死んだ。
「どうでしたか? まだ少数生産ですが、ひとまずは1000人ほどの量産する予定しております。その時は、この国の未来を担う強力な戦士として注目されるでしょう」
「パライゾで廃人にして、それをまた再利用する。いかにもあんたらしいえげつない方法ね」
「えげつない? これぐらい当然ですよ、ハハハハ」
 パトリックは、新たに高級葉巻を一本吸い始めた。一本2万円もする高級葉巻だが、彼はそれを毎日五本消費するほどのヘビースモーカーである。
「ところであれは何かしら? また新しい催し?」
「あれは……?」
 二人の目線に映るもの、それはもう1人の超人兵器だった。
「機械のミスかな? まあ、よろしい。そこの超人兵器ども、お互いに戦ってみろ」
 パトリックがマイク越しに命令をする。
 先ほど戦っていた超人兵器は、四つん這いになって構える。その姿は人間のものではなく、完全に獣そのものである。
 その一方で、新たな超人兵器は身構えることもない。それどころか、完全に無防備の状態だ。
 超人兵器はその隙を見逃すことなく、新しい超人兵器に強烈な体当たりをお見舞いした。
 ドラッグカーの如く超高速で突撃をした超人兵器に、新しい超人兵器は反応する暇などなく壁に叩きつけられ、マウントポジションのまま滅多打ち。
 同じ超人兵器同士の戦いならば有り得ない光景だが、この時ばかりは違った。
「もしかして、これは不良品かしら?」
「まあ、まだ精度が高いわけでもありませんし、少しずつ技術を……」
 パトリックが全てを言い終えようとした瞬間、2人は目を疑う光景を目の当たりにした。
「ウガアアアアアアアアアアアアァッ!!?」
 突然、攻め立てていた超人兵器が悲痛な叫び声をあげたのだ。
「こ、今度は何が起きたのよ!?」
「あ、あれは、もしかして!?」
 パトリックが指す所、そこには捨てられてはいけないものが捨てられていた。
 超人兵器の両腕。
 肘から下の部分が、無造作に床に転がっていたのだ。
「ウガアアアアアアアアアアアアアアアァッ!?」
 緑色の血と涎を撒き散らしながら、悶絶する超人兵器。
 本来ならば、銃弾どころか戦車の砲弾ですらものともしない肉体を持っているのだが、それをもいとも容易く引き千切ったのだ。
 しかし、この程度で絶命する超人兵器ではなかった。
 相手が危険だと判断したのか、数mほど引き下がり、相手の攻撃に対しての迎撃体制を取る。
「これは一体どういうことなのかしら!?」
「だ、大丈夫です!! 超人兵器は鷹よりも優秀な動体視力を持っています!! 先ほどは攻撃に夢中になっていたため回避できなかったようですが、今度こ……」
 刹那、パトリックの想像を凌駕する事態が起きた。
 何者にも捉えることの出来ぬ神速から繰り出された新しい超人兵器の右ストレート。
 触れた瞬間、両腕のない超人兵器に想像のつかぬほどの巨大な負荷がかかった。筋肉、内臓、骨、それらが全てシェイクされるような桁違いな負荷を。
「ウギャアア……!!」
 超人兵器は新幹線に激突されたかのように弾き飛ばされ、強化ガラスに叩きつけられ、血と肉と骨の大華が二人の前に彩られた。
「こ、これはもしかして、暴走じゃないのかしら?」
「大丈夫ですよ。いざとなったら、この場で焼却レバーを引けば……」
 パトリックは焼却レバーを引こうとしたが、見逃さなかった。
 超人兵器は分厚い強化ガラスを飛び蹴りでぶち破り、二人の前へと現れた。
「持ち主である私を襲うつもりか? お前に超人的な体を与えた私を」
「持ち主ですか? 生憎、私はあなたの道具でも何でもありませんよ」
「なっ!?」
 ドラッグ王は驚愕した。喋るだけの知能を奪われたはずの超人兵器が喋ったからだ。
 では、どうして超人兵器が喋ったのかというと。
「おっと、紹介遅れました。私の名前は、ヴァン・スコラットです。エリア51から参りました」
 私は仮面を外し、俗物の極みたる二人に挨拶をした。

 どうでしたか、今回のカノゴクは?
 さて、前回まではサラとクルスの二人の視点で物語が進んでいましたが、今回は胡乱な男二人の視点で物語を進めました。どうでしょうか?
 自分としてはこの場面で力を入れたのは、悪徳政治家の描写。まだまだ登場してから僅かな期間ですが、自分のイメージの悪徳政治家を書いてみました。表では非常にいいイメージのクリーンな政治家。だが、裏ではドラッグの売買を行っている犯罪者。そんな極悪な奴が国を乗っ取ろうとしている。ある意味テンプレかもしれませんが、自分としてはある程度イメージとしては書けた気がします。
 それと麻薬の売人らしき女装姿の大男。まあ、こいつについてはまだ多くは語るつもりはありませんが、こちらについてはもうちょっと練れたような気がします。ビジュアル的な面ではなく、性格的な部分が。麻薬の売人ならば売人らしく、どこか胡散臭さと裏社会の怖さを醸し出すような描写を書いたほうが盛り上がったと思います。
 まあ、二人のことについてはこれぐらいにして、この場面のもう一つのターニングポイントの超人兵器。イメージとしては、ジョジョの奇妙な冒険の吸血鬼とか、ドラゴンボールのバイオ戦士とか、ニンジャスレイヤーのクローンヤクザといったものをイメージして書きました。ただ、これについても描写がどこか少ないような気がしてなりません。どこかを削って、代わりに超人兵器の特徴を描いたほうが良かったかと。

 なかなか思うようにかけないけど、少しずつ上手くなりたいオリジナルのライトノベル。
 次回は特に予定がない限りは、日曜日更新予定。悪者二人の前に現れた、アル・ビシニアンのヴァン・スコラット。とても穏やかな雰囲気ではないが、果たして何が起こるのだろうか?それは見てのお楽しみにということで。