planetarian 星の人001

 後半はネタバレありなので、要注意!!

 泣きゲーもSFも大好きな蔵間マリコです。
 いや~、ネット配信版も大満足な出来でしたが、劇場版も評判どおりの面白さでしたねえ。Keyの隠れた名作であり、デイヴィッドプロダクションが製作した劇場版アニメ『planetarian~星の人~』(以下、星の人)が。
 去年、まさかのアニメ化を果たした『planetarian~ちいさなほしのゆめ~』(以下、ちいさなほしのゆめ)。自分は最初、好きなゲームと言えど、原作は十数年前のものだからちょっと不安でした。しかし、実際に配信されるとそれを払拭させるほどの面白さ。90分ちょっとという短編でいながらも、余すところなく原作の魅力を引き立てている。面白いKey原作のアニメはかなりの数がありますけど、個人的にはアニメ媒体では一番好きな作品になりました。
 で、ちいさなほしのゆめの続きにあたる星の人も上映している頃に観に行きたかったんですけど、残念ながら上映していた場所が福山と手軽に行ける距離ではなくて……。市内なら間違いなく観に行っていたんですけど、泣く泣く諦めることになりました。
 それから数ヵ月後の一昨日、超豪華特典版をGET。Amazonで発売日一日遅れというのがちょっと残念だったけど、それでも自分の手元にあの感動作が届いた!!というわけで、先日寝る前に星の人の最後まで見ました。そして、感想は上でも書いていた通り。
 というわけで、今回は内容を交えて詳しい感想でも書かせてもらいます。改めて言っておきますが、ネタバレありまくりの感想ですよ。だから、まだ見ていない人は絶対に見ないように!!映画を見た人はどうぞ。

planetarian 星の人002

 星の人を観てもっとも印象的に感じたことは、屑屋改め星の人とレビ・ヨツ・ルブの3人の少年少女の物語でありながらも、それは果てしなき永い星の人たちの記憶の物語の一部であること。それでいながらもそのほんの一部が、絶望の中でのささやかな救いであるということを実感させられたな。
 老いて病にも罹り幾許もない命でありながらも、星を見せて、星の素晴らしさを伝えるために各地を歩き回る星の人。それは滅び行く人類全体から見れば、何の救いにもならないだろう。しかし、それでも彼にとってはそれで笑顔になってくれる人が一人でもいれば、星の人として星の話を引き継ぐ者がいれば、彼にとってそれは救いになるのだろう。
 一方の3人の少年少女は、年相応ながらの元気さと無邪気さを見せる。中でも、擬似的なものだが初めて見る星の輝きに感動の様は可愛らしいものであり、星の人の意志を引き継ぐことも十分に納得がいく。それはとても素晴らしいことである。だが、幼い3人は知らなかった。どうしようもない人類の滅亡という未来が近づいていることに。
 このように巨大な絶望が待ち構えているが、それでも荒廃しきった時代だからこそ、かつては当たり前のように見えた星に憧れる。そしてその星の素晴らしさを3人が、他の集落の人間たちに伝える。生きることだけに必死な時代でいながらも、その絶望感を束の間に忘れさせてくれる。それはまるで暗闇の中で光る一番星のようである。
 そして、星の人の旅の終わり。長年探していたロボットとの出会い。シスターのように最期の時を看取ってくれたロボット。若き日に封印都市で出会ったロボット、ほしのゆめみとの天国での再会。彼にとってゆめみと出会う前のロボットという存在は、人を殺すだけのものだと思っていたが、そうではないゆめみとの出会いはもう一つの心の支えとなっていたのだろう。姿形も違う女神と崇められるロボットであっても、そのロボットに臨終を看取ってくれるのは一番の報いだったのかもしれない。
 だが、星の人の物語は終わらない。映画でこそ描かれていないが、3人の少年少女は星の人の意志を引き継ぐ。その旅の後、3人とも死を迎えるが、それを新たな星の人が継ぐ。その内に星を見せるということが伝聞で変質し、人の言葉を星に届ける、すなわちこの星の記憶を遠くの星へと伝えることになる。
 最終的に人類は滅亡する。しかし、人の言葉を託されたチルシスとアマントの宇宙船は遥か遠くの宇宙へと迎い、10万年という永い永い年月をかけて伝える。地球という星に人が生きていたとも言える証明を。
 自分はこの瞬間、星の人たちとゆめみが真に報われた瞬間だと思いましたね。人類の滅亡は免れることは出来なかったが、それでも生きていた証明を形として遺すことが出来た。人の一生からすれば長大な時間がかかったが、それを伝えることが出来た。人類全体から見たら自己満足かもしれないが、それでも星の人たちが紡いだ物語は掛け替えのないものであろう。星を見るという、当たり前のことすら出来なくなってしまった世界なのだから。

planetarian 星の人003

 救いのない絶望の世界でありながらも、ささやかな希望の光が灯す星の人。
 planetarianの世界の地球人類は悲しい結末を迎えたが、自分たちの世界では同じような未来を辿らないでほしい。夜空に星が見えるという、当たり前であることですら奪われかねないのだから。このただただ当たり前のことを謳歌できる世界をいつまでも……。
 そして、今発展しているロボットともに歩める未来を……。

 planetarian~星の人~の評価

 満足度 ∞
 SF度 ☆☆☆☆☆
 感動度 ∞