今日も平日更新だから、さっさと終わらせる!!

 進捗状況が芳しくない蔵間マリコです。
 日曜日ではなく火曜日になりましたが、いつものコーナーを更新しますよー。貧乏高校生の夏目大和と、ネコ耳宇宙人のデュタ、ミミとミューナとの共同生活を書いたオリジナルのSFファンタジーライトノベル『彼女たちの極秘事項(トップシークレット)』、略してカノゴクを。
 最初に書きましたが、今日は本当に時間がありませんし、休日明けでクタクタなんです!!ですから、前置きも後書きを書く余裕がありません!!かなり手抜きかもしれませんが、そこのところは許してください。
 というわけで、そろそろ本編へ入らせてもらいます。先に行っておきますが、お世辞にも上手とは言い難い内容かもしれません。それでも読んでくれると非常にありがたいです。
 それでは、今回のカノゴクをどうぞ!! 

第20話 ある夏の物語(6)

 パライゾの精製工場を発見し、カファード星人のバブリムを始末し、衛星砲『アンドロメダ』の衛星攻撃によって脱出に成功した。あとは、屋敷から逃げたパトリック・ゴーマンを拘束するだけ。
 だが、心なしか不安だった。
 衛星攻撃をしてから間もなく、通信状況が非常に悪い状態となり、物質転送機能も使用不可の状態となった。
 バブリムの置き土産とも、パトリック・ゴーマンの仕掛けた罠とも思えない。何か想定外の出来事が発生したのは間違いない。
 だからこそ、この異常事態を一刻も早く解決しなければ。遅れれば遅れるほど、我々の想定しない事態が拡大してしまう。 
 日々鍛えた脚力を生かし、屋敷を、山道を、谷を、崖を、森を疾風の如く駆け抜ける。
 高低差の激しいこの山岳で逃げられる場所なんて限られている。隠れていたとしても、見つけることはそう難しい話ではない。
 その時だった。
「うっ!?」
 森の中から、目も眩みそうなくらいの光が放たれた。
 それもただの光ではない。
 まるでこの世界を滅ぼさんとする、悪意と殺意に満ちた禍々しい光。
 私が最前線で戦っていた頃でも、このような奇怪(きっかい)な現象とは遭遇したことがない。
「通信障害に、赤い光。これは一筋縄ではいかないようですね」
 私は光の根源に向かって、飛び石のように木や岩から飛び移り、最短ルートで向かった。
 光の先には何が待っているのだろうか。
 この星を侵略するために現れた敵性宇宙人? あるいは、別次元から襲来した無人兵器か?
 侵略? 次元?
「まさか……」
 刹那、赤いプラズマを纏った光線が上空に向かって放たれた。
 私は服を掠めつつも、紙一重で避ける。もし直撃していれば、私は即座に灰になっていただろう。
 しかし、反撃するわけにもいかなかった。
 何故ならば。
「あなたでしたか、サラさん」
 光の根源へと着地をすると、そこにはサラさんがいた。
 ただし、私の知っているサラさんではなかった。
 鮮血色の髪の毛と瞳、様々な機械が取り付けられた黒いアストロスーツ、背後で浮遊する8枚の刃状の機械翼、頭上で妖しく光る機械の輪。
 資料でしか確認したことがないが、私はこの恐るべき存在が何であるかは知っている。
 電子霊体(バイナリィ・ゴースト)。
 地球(セラン)人やアル・ビシニアン、いや銀河に仇なす存在である。
 その正体は不明、別次元の生命体とも、遥か昔に邪悪な科学者が作り上げた兵器とも、超未来からの来訪者とも言われている。
 報告例そのものは数十年に1度の規模で観測され、何の被害も与えないまま消え去ることもあれば、星そのものを滅ぼすこともある。
 どちらにしても、ただならぬ存在がサラさんの意識を乗っ取っていることには違いない。
「クルスさん……」
『虫ケラガ現レタカ』
 生気の宿らぬサラさんの声とリンクする邪悪な電子音声。完全ではないが、主導権は電子音声の主が握っている。かなり危険な状況だ。
「サラさん、私の声が聞こえますか? クルスです」
「邪魔をしないで下さい、クルスさん。私は果たさないといけないことがあるんです……」
『我々二逆ラウ者ハ、死アルノミ』
 再び翼のから放たれる死の赤い光線。
 私はそれを想定して、いち早く回避動作を取り、光線を回避する。
 外れた赤い光線はプラズマと炎を撒き散らしながら、森の木々を易々と薙ぎ倒す。そして、空の彼方へと消えていく。
 薙ぎ倒された木からは炎を吹き上げ、隣の木へと炎が燃え移り、森はあっという間に火の海と化した。
「私はこの男を殺さないと救われないんです……」
『殺セ、殺セ、殺セ。我々ノ計画ヲ邪魔スル愚カ者ハ皆殺シニシロ』
 何もない空間から何十もの光弾が転送され、俺に向かって放たれる。
 速い光弾、遅い光弾、直線的に飛ぶ光弾、うねりながら飛ぶ光弾。
 ランダムに放たれる光弾の雨が私の接近を許さない。
「救われない?」
 私は背後で蹲っているパトリック・ゴーマンを一瞥した。拳銃を持った右手首が道路に転がり、激痛のあまり悶えていた。そして、その後ろには血塗れで倒れているアレックスが倒れていた。
「成程、そういうことですか」
「私はこの男に全てを奪われた。こいつの煙草の不始末のせいでお父さんとお母さんが爆発事故で死に、私も瀕死の重傷を負った。幸い一命を取り留めたものの、身寄りのない私は天涯孤独に身になりかけていた。でも、おじいちゃんが引き取ってくれた。血も繋がっていない、私の秘密を全く知らない私を無条件で愛してくれた。とっても嬉しかった。だけど……!!」
『怒レ、モット怒リ狂エ!! ソシテ、滅ボセ!!』
「だけど、あの男がばら撒いたドラッグ中毒者の暴走運転でおじいちゃんが死んだ!! 私を本当に血の繋がった子供のように愛してくれたおじいちゃんを殺した!! そして、今日はアレックスを殺した!! どうしてこの男は、私の全てを奪うのよ!? どうして!?」
『コノ星ノ全テヲ殺セエエエエェエエェッ!!』
 サラさんの瞳は、私が戦場で戦っていた頃に見たものと変わらぬものだった。
 親を殺した敵兵士を目の前にした怒りと憎悪の炎を宿らせた者の瞳。その炎は復讐の対象を殺さなければ、決して収まることのない。そして、それを果たした時に、自らをも焼き尽くして滅ぼす。
 私も瞳に復讐の炎を宿す者たちと数え切れないほどに出会い、復讐の炎に焼かれてきた。
 しかし、私は死ななかった、死ぬことができなかった。
 何故かは分からない。ただ運が良かったのか、あるいは地球(セラン)で言うところの神が運命付けたものか。
 だからこそ、消してやらなければならない。サラさんの復讐の炎を。
 それが今の私の義務であり、命を賭してでも果たさなければならない使命だ。
「だから私の邪魔をしないで!! お願いだから邪魔をしないで!!」
『虫ケラドモ、消エロオオオオオオオオオオオオオォッ!!』
 憎悪に満ちた拒絶の声とともに、サラさんは天高く飛翔し、十字の姿のまま固定された。
 そして、次元の裂け目から8基の板状のブラスター放射装置が表れたではないか。
 回転する放射装置、その中心点にプラズマを帯びた赤い光の収束が始まった。
 徐々に大きくなっていく破滅の光、あれが放たれればこの地方一帯に甚大な被害が出てしまう。
 それだけではない。復讐どころか大破壊の罪の意識の重圧で彼女の心は完全に壊れ、謎の声の主に完全に体を乗っ取られてしまう。
 しかし、同時に最大のチャンスだった。
 彼女があの攻撃に集中している限りは、攻撃も僅かながら緩やかとなる。実際に光弾の飛んでくる数も7割程度に減っている。それに動くこともできない。
 今なら止めることができるはずだ。いや、このタイミングを逸するわけにはいかない。
「死ねえええええええええぇっ!!」
『死ネエエエエエエエエエェッ!!』
 電子霊体とリンクするサラさんの声とともに、全ての光弾が私に放たれた。
 私は最低限の防御と回避動作を行いながら、天高く飛んだ。
 すれ違う光弾数発がかすり、服は破け、肉は浅く抉れたが、気にするほどでもなかった。
 そして、サラさんに肉薄し。
「きゃあっ!?」
『何事ダッ!?』
 強引に押し倒した。
「は、はなしてっ!!」
『邪魔ヲスルナッ!!』
 およそ地上50mから降下しながらも暴れるサラさんだったが、私は離さなかった。離せば、再びチャージが始まってしまう。
「きゃあっ!?」
『ヌゥッ!?』
 私はサラさんを庇うようにアスファルトの地面へと激突した。
 アストロスーツでは無い故にかなり痛いが、それでも我慢できない痛みというわけではない。
 それにサラさんの背負う悲しみに比べれば、大したことはないのだから。
「サラさん、あの男でしたら私に任せてください。だから、もう止めてください」
「何を言っているの!? 私があいつを殺さなきゃあ、お母さんもお父さんもおじいちゃんも喜んでくれないし、私の心が晴れない!!」
「それは本当なのでしょうか? あの男を殺せば、それで幸せになるのでしょうか?」
「当たり前よ!! なんでそんなことに疑問を持つの!?」
 私はアスファルトの地面に座り込み、サラさんの両肩を持つようにして諭し。
「もし、あなたがパトリック・ゴーマンを殺したら、子供たちはどうするんですか? おじいさんが大切に育てたオリーブ畑はどうするんですか?」
「えっ……?」
 私は月明かりの下、自らの正体を明らかにした。
 サラさんと同じネコの耳とネコの尻尾、違いは形状と色だけだ。
「クルスさん、あなたは……」
「今まで隠してすみません、サラさん。私は、あなたと同じアル・ビシニアンです。そして、真の名前は、ヴァン・スコラットです」
「どうして、今までそれを隠して……」
「私の本当の仕事は、薬のセールスなどではありません。この星で暗躍する宇宙人と犯罪者を捕らえることが本当の仕事です」
 アル・ビシニアンであることを明かす以上に晒してはいけない情報だが、それでも話さないわけにもいかなかった。そうでもなければ、説得することができないと判断したからだ。
「ですから、あなたがあの男を殺す必要などありません。あの男にどれだけの強大な権力があったとしても、我々エリア51の前には無力ですから。宇宙の法によって裁きますので。アレックスくんも、我々が治療しますので」
「あ、アレックスくん、生きているの!?」
「ええ、非常に危険な状態ですが、今すぐエリア51で治療すれば回復します」
 憎悪に満ちていたはずのサラさんの顔は、潜め始めていた。きっとこれならば、電子霊体の悪意にも打ち勝つはずだ。
「だから私に任せてください、私を信じてください」
 私の言葉にサラさんは動揺し、数秒間ほど沈黙した。
 そして。
「うん、分かった。私も、クル……、ヴァンさんを信じます」
 サラさんの体が光り輝き、漆黒のアストロスーツから元の服へと戻り、天井のブラスター放射装置消失した。意識も完全にサラさんのもの。
 勝ったのだ、サラさんは電子霊体という得体の知れない邪悪な意志に打ち勝ったのだ。
「信じていました、サラさん。あなたはとても強い」
「ううん、全部ヴァンさんのおかげ。ヴァンさんがいなかったら、私はきっと大変なことをしていた。取り返しのつかないことをしていた」
「さて、そろそろアレックスくんをエリア51に転送し」

 その時だった。
 燃え盛る森の中で、二発の銃声が響いた。
 同時に、私の体に二つの違和感を覚えた。
 一つは、右腕がなくなっていたこと。
 もう一つは、胸に大きな穴が開いていたこと。

 どうでしたか、今回のカノゴクは?
 次回は、特に予定がない限りは日曜日更新予定。ヴァンの身に降りかかった最大のピンチ。果たして、このピンチを乗り越えることができるのだろうか?そして、サラの運命は?
 それは見てのお楽しみにということで。