続・黒のノエル

現在週刊ヤングマガジンで連載中の異世界ファンタジー漫画『パラレルパラダイス』をはじめ、純愛ダークファンタジー漫画『極黒のブリュンヒルデ』、美少女SFバイオレンスラブコメディ漫画『エルフェンリート』、スポコン漫画『ノノノノ』、そして大問題作『君は淫らな僕の女王』(原作)などの岡本倫先生の作品の感想や考察を書いています。他にも、日常の出来事や漫画・アニメ・ゲームの感想、食べ歩き企画、ライトノベルの執筆などをしております。どうぞごゆっくり見てください。

2011年10月

 素振りは基本!!
 豆腐メンタルも基本!!

 今期のアニメも楽しみだけど、たまには数年前の迷作アニメを見たい蔵間マリコです。
 終期のアニメが放送開始されてから1ヶ月、大体は4話目か5話目ぐらいまで進展した所でしょうか。皆さんは、面白いと感じたアニメはありましたか?
 自分は、今期のアニメはFate/Zeroあたりが本命ですかね。原作のFate/staynightをプレイしているというのもありますけど、魔法少女まどか☆マギカの脚本家の虚淵玄さんが描いた作品ですからね。原作小説は読破していますが、アニメ版は作画の綺麗さと雰囲気の再現度の高さは今期随一ですよ。
 あとは、ホライゾンとかペルソナ4たまゆらがそこそこ、他はボチボチかな?肝心の機動戦士ガンダムAGEは、ちょっと微妙かな?ウルフとか艦長とか山田あたりは気になるんだけど、フリットとその取り巻きがなあ…。まあ、ガンダムは最後まで見る主義だから、このまんま視聴しますわ。
 とまあ、こんな感じにアニメを見てますけど、今期のアニメとは別に先週から放送開始された、いや厳密には先週に最終回があって今週から2週目が始まったのだが、ニコニコ動画であるアニメを楽しませてもらっているんですよね。それは、知る人知るぞの問題作アニメ、人造昆虫カブトボーグ V×Vである。

 人造昆虫カブトボーグ V×V、それは2006~2007年にかけて放送されたタカラトミーの販促アニメだ。
 ストーリーとしては、『主人公の天野川リュウセイとその仲間たちが、悪の組織『ビッグバン・オーガニゼーション』に立ち向かう。』という、ごくごくよくある販促アニメの体をしたものである。しかし、それはあくまでもパッと見の話。実の所、そんなものをかなぐり捨てた、脚本家のやりたい放題のカオスなアニメである。
 例を挙げると、1話目でも毎週が最終回のようなストーリーとか、重要な登場人物がしょっちゅう死ぬけど、次の回になると何事も無かったかのように会話をしていたり、見た事が無い場面を回想であたかもあったかのように流したり、主要人物にカブトボーグのアンチがいたり、主人公たちがカブトボーグをゴミのように扱ったり、世界が2回も崩壊している上に、滅亡する事すらあったのに、次の回になっていると何事も無かったかのように他愛も無い世間話をしていたり、これ単品の作品なのに、あたかも3作目みたいな描き方だったり、主人公たちが犯罪を犯したり…。文章で書いているとよく伝わらないかもしれませんが、コレ全部本当の事ですよ。
 何で、こんな狂ったような設定が通ったか、それはカブトボーグ自体の日本での販売が終了間際で、やりたい放題してもいいよとタカラトミーが言ったところ、文字通りやりたい放題な内容になったらしい。なんとまあ、無茶苦茶…。
 自分は、このアニメ自体はリアルタイムで見ていたわけではないが、アニマックスでスペシャル番組が放送された時に、物の試しに見たらもう放送中は腹抱えて笑いっぱなしで…。コレ、販促アニメの皮を被っただけの大人向けのアニメだって思いながら。
 でも、こういう自由奔放なアニメも悪く無いと思う。基本、作品を作るにおいて、グッズを買いたくなる工夫とか作品としての様式美を尊重するものだが、もしそういった枠を気にせずに作ったらどうなるか。それも、単に無茶苦茶をするのではなく、計算づくで作りあげた混沌として。それは、正直、普通のアニメだとリスクがありすぎて出来ない事だが、先でも書いているとおりそういった制限が無い。だからこそ、脚本家のやりたいように出来る。そういった意味での実験的な作品として、貴重なものじゃないかな?まあ、こういった作品はリスク云々関係無し出来るものでもないけどさ。

 子供向け番組の皮を被ったカオスなアニメ、カブトボーグV×V
 今週から1話目が始まったので、興味があったらぜひとも視聴するといいぞ。好き嫌い分かれる作品だけど、はまるととことんはまるぞ。
 ちなみに、個人的にオススメの回は24話目の『試練! ワンダー・ミラクル・ハート』、29話目の『危険地帯! ダークバトル・ソルジャーズ』、31話目の『王様は絶対! スキャンダラス・マジェスティック・エゴイズム』の中盤3話。正直、どれも子供には見せれない内容…。

      

 うまいもんを食うためには、雨であろうが槍だろうが絨毯爆撃だろうが大量の宝具だろうが…!!

 漫画とアニメとゲームと美味しい食べ物には目が無い蔵間マリコです。
 いや~、今年も満足する事が出来ましたねえ。広島で年に1回ほど行われる食の祭典、広島フードフェスティバルが。
 去年、一昨年となかなか美味しい物にありつけれて満足できたのですが、今年は例年以上。どれもこれもが最高の逸品ばかり。わざわざ朝食を抜いてまで、参加しに行った甲斐がありましたわ。
 ただ、残念な事が一つ。その日は生憎の雨だったんですよね。去年のフードフェスティバル同様に。それも、結構強烈な降り方でして…。イベントこそは中止にはなりませんでしたが、泥で靴とズボンが汚れてしまいました。まあ、その代わりに客寄せのためにと、売っている物が若干安くなっていたりいましたが。

            フードフェスティバル018

 さて、そのフードフェスティバル会場に到着して、まず食べたのがコレ。ビーフストロガノフやボルシチと並ぶ、ロシア料理の代表的料理、ピロシキ。あの黄色い蛙の宇宙人が大好きなカレーパンじゃあありませんよ。あと、百式でも白式(ガンダム的にも、某ラブコメの主人公の駆る兵器的でも。)でもない。
 とりあえず、朝食分の補給と炭水化物を腹の中に入れて、調子を整えるために買ったんですけど、これがもう美味しさ満点。カリカリでフワフワなパンの中に、野菜の旨味と脂身でトロトロとなった肉の餡のマッチが味のハーモニーを生み出す。そして、肉の餡の中に入っている茸が味と食感のアクセントなって、より深みを増している。ピロシキは朝食に出る事がたびたびあるが、これほど美味しい物を食べたことは無いぞ。

            フードフェスティバル019

 ピロシキを食べて、腹の調子を整えた私は、続いては広島県の名産物である牡蠣を食べた。
 これは毎年食べてますが、今年も相変わらずの美味しさ。プリプリの身の中から溢れる牡蠣の旨味。突き抜ける潮の香り。茹でて、ポン酢と葱と七味唐辛子をかけただけの料理にも関わらず、ここまで美味しいとは、いかに素材が良いか分かる。大袈裟だけど、広島に住んでいて、感謝したい瞬間の一つである。

        フードフェスティバル022

 牡蠣を食べ終えて自分は、ゆるキャラの大会を見るついで、近くの露店で売っていたドジョウの唐揚げといったちょっと変わった物を食べた。
 ドジョウを食べるのは人生初めてのことなのだが、これがもうたまらないなんの。ワカサギほどの骨の硬さ名わけでなく、鰻に近いとろりとした食感でありながらも、ドジョウ自体は脂っぽくない。そして、淡水魚独特の力強い味。小さい身でありながらも、噛めば溢れ出る味に天にも昇りそう。まあ、から揚げにされたドジョウには、同情したくなるけどね。ドジョウだけに。

        フードフェスティバル020

 だんだん調子が良くなってきた自分は、更にテンションを上げるためにも、いかにも酒にあいそうな料理を買った。沖縄の名物料理・中味の炒め物とオリオンビールだ。
 中味というのは、豚のホルモンのこと。自分はホルモン大好き人間だが、これはなかなかの良味。沖縄料理だから本州とは違って、結構癖のある味かと思ったのだが、それが馴染みのある味でして…。中味のクニュクニュ感とよく噛めばジワジワと出てくる濃厚な味、その中味の旨味を玉葱と蒟蒻が吸ってくれる。オリオンビールのすっきりとしたビールとは、よくマッチしてますわ。

            フードフェスティバル021

 そして、残ったオリオンビールと一緒に食べた料理がもう一つ。AB、エビの唐揚げを買った。
 まあ、見ての通り、エビを三匹串に刺して、揚げたという非常にシンプルなものだが、これがもうほっぺたが落ちそうなほどで味なんだよね。海老の身自体もなかなか美味しい物だが、肝じゃないのにこの唐揚げの肝となっているのが、海老味噌。なんと、カチカチに固まっているわけでなく、噛めばトロトロの半生の状態で零れ落ちるんだよね。それも、相当な量でして。
 いや~、これは嬉しいサプライズ。シンプルでありながらも、濃厚で複雑な海老味噌の味。これが、ビールとあわないわけがないじゃないですか。これが、今回食べた料理の中でも一番、それもダントツに美味しかったぞ。これは、来年も食べないと!!

        フードフェスティバル023

 色々食べて、腹も溜まってきたので、そろそろメインディッシュ。そのメインディッシュとして選んだ料理が、インドカリー。「なんとぉー!!」とのセットで、600円。店なんかでインド料理を食べると相当高いから、随分良心的である。
 カレー魔神の称号を持つ、カレー大好き人間の私ですが、これもなかなかの味。ナンのもっちりとした味、日本の物とは違うインドカレーの独特のコクとまろやかさ、それが合体する事によって醸し出される味のハーモニー。ヒタヒタになったナンの味が、心地よい事。こんな美味しい料理をしょっちゅう食べれるインド人が羨ましいよ。

        フードフェスティバル024

 カレーを食べ終えて、満腹に近付いてきた。そして、御飯も少し恋しくなった。という事で、〆に食べたのが海賊おにぎり。
 これは、春にあるフラワーフェスティバルなんかでもよく食べる鉄板みたいなものだが、これぞ日本の味って感じで美味しいんですよねえ。それも、昆布とおかかと鮭とシーチキンと欲張りなセットだから、優柔不断な自分にとっては、これほど嬉しいおにぎりは無い。やはり、〆に選んで良かったわ。

 今年も行って良かったと満足感に浸れたフードフェスティバル。
 もし、来年もフードフェスティバルがあるのなら、絶対に参加したいものである。こんなに美味しい物が食べれる機会は、そんなに無いからな。
 しかし、こんなに美味しい物をたくさん食べたら、明日から当面の間はローカロリーに済ませないといけないな。う~ん、困っちゃう…。

 「こんな可愛い子が女の子のはずがない」とは言うけど、あながち間違っていな…。
 いやいや、そんな事は…!!

 アニメや漫画だからこその魅力があると思う蔵間マリコです。
 いや~、今週のヤンジャンはマジで面白かったですよ。アニメ化がZETMANもやっとこさ新章に突入したし、嘘喰いも佳境、4年間連載していた新田次郎の小説が原作の孤高の人もゴールイン、そして来週からは高橋ツトムの漫画が連載開始とウキウキのウハウハな内容でしたね。あと、新連載のスーパーダッシュ文庫のライトノベル原作のパパのいうことを聞きなさい!のコミカライズは…、ちょっとヤンジャンの色に合わないからパスかな…。ああいうのは、ジャンプスクウェアの領分なのでは…。B地区は、ちょっと嬉しいけどさ。
 だけど、そんな事よりもおもろかったのが、やっぱアレ。掲載順ではかなり怪しいけど、個人的にはお気に入りのねじまきカギュー。先週で、やっとこさ風紀委員編が一段落着いて、これから先の展開がどうなるかなあと思ったら、新キャラ登場。その名も、中村窈(なかむらよう)。自称・面白いことも言えなくて、引っ込み思案、男の人が苦手、でも担任の葱沢鴨先生のことは好きというパッとしないけど可愛い子という、地雷と見えてる地雷キャラばかりの恐ろしい世界の漫画で唯一のまともなキャラだと思い、ホッとしましたよ。ただ、それと同時に作中でよく語られている言葉が頭の中を過ぎったんですよね…。舞台の花は桜木学園の校訓が『絶対個性主義』である事を。
 その嫌な予感が見事に当りまして…。それも、他のキャラと負けないぐらいの地雷級の。何と、新キャラの窈ちゃんは女の子じゃなくて、男の子、所謂、男の娘だったんだよ…。
 何て言いますか、天国から地獄、血涙もの…。自分が可愛い可愛いと思っていたキャラが男だったなんて…。漫画の展開的には、今まで鴨サイドから攻めていっていたのをカギューちゃんサイドへシフトさせたのは面白いけど、マジでこれは…。

 しかし、最近といいますか、男の娘って結構見かけるような気がする。ブームっていうか、なんと言いますか…。
 はぴねす!の渡良瀬準とかH2Oの八雲はまじ、バカとテストと召喚獣の木下秀吉なんかあたりで火がつき、最近だとSteins;Gateの漆原るかあたり、ヤンジャン系列だとノノノノの鷺坂慎之介やカイチュー!の不動権三郎や不動まこと、ガンダムなんかでも∀ガンダムのロラン・セアックもといローラ・ローラも認定されているからな。そういえば、今日弟が買ったアイドルマスター2とは別のアイマス作品に秋月涼なんてのもいたね。パッと思いつくだけでも、相当いるな。他にも、わぁい!みたいな男の娘専門の雑誌まであったりするし…。
 俺には、そういった趣味はあんま無いけど、恐らくは男の娘っていうジャンルの魅力って、多分、見た目が女の子だけど、実は男の子というギャップと背徳感がウリと言ったところだろうか?特に背徳感という部分は、妹属性のキャラなんかと同じなんだけど、越えてはいけない一線(例えば、ヨスガノソラとかヨスガノソラとか。)があるみたいなものがあって、その禁忌に敢えて触れるからこその魅力があるという共通的な魅力があるんだと思う。ただ、それ以外は全然違うけどさ。アレがあるのはキツすぎる…。
 まあ、こういったのもブームが過ぎれば落ち着くんだろうけど、多分はエルフ耳・ケモノ耳・妹属性・ツンデレ・ヤンデレなんかと同じように一定数を残して、男の娘の定着するんじゃないかと。世の中、何が流行るか分からないもんだな…。

 ある意味、萌属性の極地である男の娘。
 ねじまきカギューの窈ちゃんが可愛いのは分かるけど、絶対にこれは越えてはいけない一線だ。あくまでもカギューちゃんの恋愛を見送るだけで充分なんだ…。でも、窈ちゃんも捨て難いし…。マジで、この展開は罪深すぎるぞ、作者の中山敦支さん…。

    ねじまきカギュー

 夜戦(ナハト)仕様にしても、辛い…。
 夜適正が、Bだからだろうか…。

 昼と夜のサイクルが入れ替えが厳しくて、悲鳴を上げている蔵間マリコです。
 ホント、昨日は、いや今日はマジで辛かったですし、ヒヤヒヤする出来事が色々とあって何時も以上に疲れましたわー。夜勤病棟の交通警備が。
 夜の工事現場の警備は、サイクルの関係で月に1・2回ほどありますから、ある程度慣れていますけど、今回は本当に疲れましたよ~。土嚢や看板を積み忘れて、途中でUターンをする羽目になったり、他の班の人が体調不良を起こして、そのぶんの皺寄せが回ってきたりと大変だったりとトラブル続きでしたから。それに、現場が車の流れが激しい所だから一瞬の油断も許されない状態でして…。交通警備はやたらと神経を使う仕事なのに、もう無茶苦茶の滅茶苦茶。これで、ちゃんと仕事が出来たのが奇跡だと思う。
 おかげで、会社に着いた直後、着替えもしないで休憩室のソファーで2時間ほどバクスイして、起きた直後に、スタバでホワイトモカのアーモンドシロップ入りグランデとシュガードーナツを食べて、糖分を補給しまくって体力回復を図りましたよ。今でこそ、ある程度体調が戻ったとはいえ、今でもちょっとだるい…。
 それにしても、夜の仕事だから給料がかなり良いのは分かるが、これはあまりにも厳しすぎる。腰に爆弾持ちだから、何時再発するかも分からない状態でもあるし。来月は、ちょっと夜の仕事を控えようかなあ…。このまんまじゃあ、命がいくつあっても足らない。「十二の試練(ゴッド・ハンド)」を持ってしても。

 でも、これでも今までした夜勤の中では、比較的楽な部類なんだよなあ…、悪い事に。これよりも、きっつい交通警備が何度かあったんですよね。
 一つは、入社して間もなくの頃のこと。その頃は、夜勤なんて全く行っておらず、基本的に日勤オンリーだった。そんな所に、緊急の夜勤。どうやら、住宅街でちょっとした崩落事故が起きたようだ。そこで、通行止めとして狩り出されたのだが、それが辛いの何の。季節は冬である上に、突然の雨。どんなに厚着をしてようが全くの意味が無い。その上、人員不足が原因で16時間労働と明らかに超過労働。
 あの時は、寒さと暗さと疲れと眠気との戦いで最後は意識が朦朧として、何をしていたか記憶に残ってませんでしたよ。仕事が終わった後に、ゲーセンでクレーンキャッチャーした体力は、何処から来たのか不明だが。今じゃあ、そんな体力ありませんよ。予備バッテリーがあったとしても。
 もう一つは、2年前の事。これは、仕事の内容自体は別に厳しいものじゃなかった。ごくごく普通の夜勤の警備。仕事も滞りなく進み、普段だったら全然余裕な仕事。でも、その仕事の際に最悪の事態になりまして…。なんと、土嚢の積み下ろしをしていた際に、腰の爆弾が爆発したんですよね。キラークイーンのスタンド能力の如く。
 あれは、マジで地獄としか言えなかったわ。深夜だから代打要員を呼ぶわけにも行かないし、ここで要請でもしたら迷惑をかけるし…。仕方ないから、痛みに耐えて8時間労働しましたが、仕事が終わった後は痛くて痛くて何も出来ない状態でしたよ。その後、病院行ったら全治2週間の腰痛だったし…。やっぱ、無理は良くありませんわ…。

 給料いいけど、何かと昼よりもトラブルの多い夜勤。
 明日からしばらくは日勤が続くけど、どれだけ昼の仕事が楽かが実感するよ。とはいっても、夜勤の警備の中ではまだまだ楽な部類らしいけどさ。夜の線路の点検の警備をしている人なんかは、恐ろしく大変で危ないって言うし(その代わり、給料が桁違いにいいが。)…。流石に、そこまでしたいとは…。

             新機動戦記ガンダムW Endress Waltz 敗者たちの栄光2巻

 ズール皇帝こそが正義だ!

 平成ガンダム三部作をリアルタイムで見た蔵間マリコです。
 いや~、新機動戦記ガンダムWはリアルタイムで見て結構楽しめましたが、こっちでも面白いですねえ。今日発売した『新機動戦記ガンダムW ENDLESS WALTZ 敗者たちの栄光』の2巻。
 前巻は、かなり端折りすぎて少し微妙な部分もありましたが、2巻に入ってやっとこさ本調子になったという感じ。前よりもバランス良く場面の四捨選択も出来ているし、EW版ということを意識して、上手い具合にEWで描かれていた場面も織り交ぜている。「ヒイロ――――!!早く私を殺しにいらっしゃい――!!」と電波な台詞を発信するリリーナやゼクスと離れていた1年22日を記憶していたノインといったエキセントリックなキャラたちも健在。いよいよガンダムWらしさが出てきたというところだろうか。
 しかし、これらのファクターよりも濃いのがやはり、ガンダムW最大のネタキャラ、ごひもとい張五飛(チャン・ウーフェイ)。ヒイロとかリリーナとかトレーズも濃いキャラだけど、ごひが頭一つ抜けている感じがある。力こそ正義を信条にしている割には、ノイン相手に吼えるどころか野犬にまで叫ぶし、恐らくは次巻で対峙するトレーズには完膚無きまで叩き潰されて叫ぶだろうし。ごひの支離滅裂な正義に、笑いがこみ上げてしまう。
 ただ、単に変なキャラとして描いているわけでなく、それなりに理由を描いていたのは良かったな。五飛の亡き許嫁である竜妹蘭(ロン・メイラン)。五飛が作中でナタクナタクと叫んでいるが、妹蘭の渾名から取ったものである(ちなみに、ナタク自体の元ネタは、封神演義に登場する人造人間。)。その設定そのものは原作の時からあったのだが、原作では本人の描写が一度も描かれず仕舞いだった。でも、今回の漫画にてそれが描かれたのだ。
 この妹蘭の登場には、ガンダム好きとしては嬉しいばかりの展開でしたねえ。わざわざ知る人知るぞのエピソードを描いてくれたのですから。そのおかげか、ごひが正義に拘る理由にある程度の説得力が与えられたような気がする。まあ、その割には言動が釣り合っていないのは相変わらずの話だが。

 しかし、ごひじゃないにしろ、ガンダムシリーズにおいて正義の在り方というものは、よく描かれているものだ。
 ファーストガンダムだって、ジオンが独立するための戦争としてジオンが妙に正義っぽく描かれていたり、某女みたいな名前とか言ったばかりに人生を躓いてしまった負け犬も「ティターンズは力だ!力があってこそ全てを制するんだ!」なんて言っていたし。これは、現実世界においても永遠のテーマのひとつであろう。
 自分は、この正義というものはかなりの曲者だと思う。正義というものは、世界の均衡を保つための大義名分とは聞こえはいいが、だがそれはその人の主観によるもの(主観の無い正義を貫き通そうとした某ギャルゲーの主人公もいたが。)。それが正しいという事は見る人によって変わるだろうし、正義も度が過ぎれば独善となり悪となる。ジオンだって大義名分とは言っているが、コロニー落しをしている時点で正義でもなんでも無い。棄民政策をした連邦同様の悪である。
 では、自分の思う正義とは何か?自分としては、常に相手の意見を受け入れる余裕を持ち、ギリギリの妥協点を見つけあい、話し合いで解決する。それが、自分なりの正義だと考えている。勿論、自分の主観であり、理想論に過ぎない。でも、武力を持って解決するという手段は最終手段であり、自国を守るために武力を使わざる得ない状況だってある。だから、理想と現実のギャップに苛まれないように徐々に漸近線を目指す。何十年何百年もかけて。それが、正義じゃないんかなと自分は考えている。もっとも、これが他人にとって正解ではないかもしれないが。

 終わらない正義と正義のぶつかり合い。
 さて、現実での恒久的な平和というものが訪れる日がくるだろうか?現実世界もそうだろうけど、ガンダムのファンの中での派閥闘争なんかも。
 特に、今の時期は新しいガンダムのアニメが放送されているだけあって、荒れに荒れているまあ、自分は徐々に慣れてきているけど、このまんまの展開だったら傷跡を残しかねないだろうなあ…。ガンダムという作品群は、取り扱いの難しい作品である。

      

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