ウッソ、ジュドー、ミネバ、アムロ、シャア、イデオン……。
何か混ぜてはいけないものがあるけど、気のせい気のせい……。
漫画だからこその掟破りをしてもいいと思う蔵間マリコです。
ジャジャーン、今日の帰り、某所にてこんなのを買いましたー。SF漫画家、長谷川 裕一のガンダム漫画短篇集『機動戦士Vガンダム プロジェクト・エクゾダス』を。
長谷川 裕一といいますと、ガンダムファンの間では、現在新シリーズ連載中である『機動戦士クロスボーン・ガンダム』シリーズで、非常に有名な人ではあるが、この短篇集はクロスボーン1作目よりも前に掲載されたガンダムの短篇2本が収録されたものだ。一つは、表題となっている『機動戦士Vガンダム プロジェクト・エクゾダス』、もう一つは『機動戦士VS伝説巨神 逆襲のギガンティス』。両方とも、非公式作品ではあるものの、ガンダムファンの中では語り草となっている作品だ。
特に、機動戦士VS伝説巨神は、いかにも長谷川裕一らしいというかぶっ飛んでいる。宇宙世紀の世界に、もしイデオンがあったらというコンセプトで描かれているのだが、ロボットアニメ最強ロボットの一つだけあって、気が狂ったような強さ。それもガンダムとイデオンの絡ませ方が、なかなか面白い。なんていうか、富野 由悠季に対してのリスペクトを感じるといいますか。この組み合わせ自体は、スパロボで再現されているが、それよりも遥か前に生み出していたとは……。長谷川裕一の相変わらずのSF好きには、脱帽するよ……。
しかしまあ、どうしてこうも今も昔も面白いのだろうか。ガンダムの漫画って。
まあ、TVアニメという下地があるからというのも大きいかもしれんが、やはり準公式・外伝・非公式というスタンス上、読み手からのしがらみが少ないというのが最大の理由かもしれない。基本的に、「読みたい奴は読め!!」ですからねえ。そのため、フリーダムに描けるという媒体的アドバンテージがあるのかもしれない。
例えば、『機動戦士ガンダムTHE ORGIN』や『超級!機動武闘伝Gガンダム』といったTVアニメのリテイク漫画。これは、漫画版新世紀エヴァンゲリオンのように、原作ファンからしたら最上級の御褒美ともいえる内容だと思う。それも、放送されてから十数年後、原作に関わったスタッフ(後者は、あくまでもキャラデザのアドバイザー程度だが)が描くというのだから、これほど豪華なコミカライズ漫画というのはそうそうないと思うぞ。
それとか、今回紹介した機動戦士VS伝説巨神や以前レビューした怪作漫画『Gの影忍』のように、従来のガンダムと大きくかけ離れた作品。前者は、上で説明したとおりだが、後者のGの影忍はもっとはっちゃけている。タイトルどおり、忍者が主人公。ノーマルスーツ無しで生身で宇宙を歩き回るのは当然の事、太陽の上での決戦、シャアはビームサーベルを真剣白刃取りして、宇宙から地球にめがけての飯綱落としなどなど……。もうガンダムである必要があるか怪しい内容ではあるのだが、これが思いのほか面白くてね……。こんな頭のおかしい内容を考えた作者は、ある意味天才だわ。
他にも、一年戦争+魔法少女というGの影忍と同じく頭のおかしい組み合わせの『魔法の少尉ブラスターマリ』、カテ公やシャイニングアッガイで有名な『いけ!いけ!ぼくらのVガンダム!!』、萌えハマーンが拝める『アクシズのハマーンさん』などなど……。ここで紹介しているのは、俗にいうイロモノ枠ではあるが、こういった作り手側の個性が大きく現れているからこそ、今でもガンダムの漫画を描きたいという人が多いのかもしれない。
TVアニメとは、違った魅力のあるガンダムの漫画。
多くの視聴者を魅了し、多くの描き手を生み出し、そして多くの読者を楽しませてくれるガンダムという一大ジャンルに感謝したい。これからも、こんなに面白いガンダムの漫画に出会いたいものだ。