なかなか完成しません!!

 進捗状況が極めて悪い蔵間マリコです。
 さてさて日曜日ですので、いつものコーナーを更新しますよー。貧乏高校生の夏目大和と、猫耳宇宙人でのデュタ、ミミとミューナの共同生活を書いたオリジナルのSFファンタジーライトノベル『彼女たちの極秘事項(トップシークレット)』、略してカノゴクを。
 今週でカノゴク第20話が終了となりますが、第21話が完成していません……。進捗状況としては85%、後押しのところまで差し掛かっているんですけど、それがなかなか上手くいかなくて……。逆算して物語を作っているから話のラインは決まっているんですけど、思うように運ばなくて。思い切って直すという選択肢もあるけど、それだと時間がかかりすぎるし……。う~ん、困ったもんだ。
 とまあ、ちょっとに詰まった状態に陥っている状態なんですけど、それはひとまず置いて、そろそろ本編へと入らせてもらいます。先に言っておきますが、お世辞にも上手とは言い難い内容ですよ。それでも読んでくれると非常にありがたいです。
 それでは、今回のカノゴクをどうぞ。 

第20話 ある夏の物語(8)

「見慣れぬ客だけど、もしかして観光客ですかい?」
「そのようなものです」
 私はタクシードライバーと話しながら、外の風景を眺めた。
 その日は、晴れでも雨でもない、なんとも中途半端な天候。そのためか、海のきらびやかな姿が見えない。ただ、これも地球(セラン)の美しい姿の一つとも言えよう。
「地元の者でもないのに、こんな陰気臭いところへ用事があるとは物好きですな。もっと面白い場所ならありますのに」
「ええ、結構物好きと言われますからね」
「到着しましたぜ」
「ありがとう。お釣りはチップだと思って、貰ってくれませんか?」
「毎度あり」
 私は黄色いタクシーから降りて、崖沿いの石造りの階段をゆっくりと登った。
 夏であるにもかかわらず、北方から吹く地方風がどことなく寒かった。
 以前、訪れた時はやや暑かったぐらいだが、こうも温度差があるとは。ただの1回だけでは、全ての顔を知りうることはできないということか。
 途中、初老の女性とすれ違った。軽く挨拶を交わしたが、女性の言葉はどことなく重かった。まるで今日の天気のように。
「ここか」
 階段を5分ほど歩いた先、そこには悲哀が待ち構えていた。
 広大な地に広がる1857の石版と1の石柱のモニュメント。
 そして、白亜の石版にはそれぞれに人の名前が刻み込まれている。
 13年前、あの日の夜の悲劇で亡くなった人たちの名前が。

 サラさんの放ったブラスターは甚大な被害を与えた。
 光に飲み込まれ痛みを感じることもなく死んだことすら気付かなかった者、ブラスターの炎に飲み込まれ判別付かないほどに炭化した者、有毒ガスを吸い込み意識が二度と戻らなくなった者、崩れた建物の下敷きになった者……。
 あのブラスターの一撃で1024人の死者、843人の行方不明者、3541人の重軽傷者、そして数え切れないほどの建物を破壊した。
 勿論、パライゾを生産していたパトリック・ゴーマンもその犠牲者のうちの一人であった。しかし、彼の死は誰も悼むことなく、それどころかバッシングを浴びることとなった。パライゾを開発していたことが露見したからだ。結局、パトリックの創り上げた麻薬の密売ルートは全て潰され、関係者全員逮捕されることとなった。
 現在は国は復興し、治安も回復したが、ブラスターの爪痕が多く残されている。この慰霊碑公園は、あの日の出来事を忘れないために建てられたものである。

 私は、一番前の墓石まで歩んだ。
 エーゲ海が一望できる一等席とも言える場所、そこにサラさんの墓が建てられていた。
「遅くなりました、サラさん。13年ぶりですね」
 私は花束と、赤ワインと、塩漬けオリーブを墓前に置いた。
「サラさん、どうですか一杯。サラさんの好きな地元の赤ワインと塩漬けオリーブですよ」
 紙コップに赤ワインをほどほどに注ぐ。
 きっと、サラさんはあの日と同じように美味しく飲んでいるだろうし、食べているだろう。
 しかし、今日は私とサラさんだけではなかった。
「サラさんの育てていたオリーブの木はどうですか? 大切に育てていますか?」
「13年ぶりだな、トム・クルス。いや、ヴァン・スコラット」
 背後から怒りに満ちた青年の声が聞こえた。私は振り向くことはなかった。
「あんたのおかげで、怪我が治ったのは感謝する。だが」
 撃鉄が引く鈍い音がした。
「あんたのせいでお母さんは死んだ、この国は滅茶苦茶になった。あんたのせいで全てがおかしくなった!!」
 アレックスは構えたが、心は構え切れていなかった。実際に見なくても、手に取るように分かる。
「復讐ですか。それも悪くはないと思いますよ」
「ああ、そうだ。お母さんの敵討ちだ!!」
「なら、撃たないんですか? 撃てば、それで楽になりますよ」
「うるさい!!」
「そうですか」
 私はここで初めて振り向いた。
 180cmはあるであろう高身長に育ったアレックス、顔は13年前の面影が残っていた。
 そして、手が震えていた。このまま撃てば、私に当たることはないだろう。
「ちっ、近寄るな!!」
「アレックスくん、あなたが私を撃つ事ができないのなら」
「なっ!?」
 私はアレックスの持つ拳銃を私自身の腹にピタリとくっつけた。
 そして、銃声が慰霊碑公園に鳴り響いた。
「これで満足しましたか?」
「あ、あんたは馬鹿か!? なんで自分を撃つんだ!? 頭がおかしくなったのか!?」
「あなたの手を汚したくないからですよ。あなたのお母さんと同じ悲しみを背負わせたくないんですよ。血で手を汚すのは私だけで十分ですから」
 血のシミがジワジワと広がり、石造りの床に血の水滴がいくつか落ちた。
 血に塗れた拳銃が両手から落ち、硝煙の匂いが立ち込めた。
 それでも、私は目を逸らさずにアレックスをまじまじと見つめた。
 アレックスの顔は復讐者の者から、恐怖に怯える子供そのものになっていた。
「ど、どうしてあんたは、あんたは、いつも優しいんだよ!?」
 戸惑うアレックスに対して、私はこう答えた。
「私にはそのような生き方しか出来ませんから」
 アレックスは膝から崩れ落ちた。
「あ、あ……、ううう~っ!!」
 私は敢えて慰めの言葉をかけることはなかった。サラさんを救うことだけでなく、13年も墓参りをする勇気もなかったのだから。
 右脇腹の痛みを抑えつつ、私は慰霊碑公園を後にした。
 帰り道、サラさんが大切に育てていたオリーブ畑が見えた。
 右半面が山の地肌が露わとなっていたが、残りの左半面はあの日と変わらず綺麗に緑の葉が生い茂っていた。きっと収穫の時期となれば、瑞々しいオリーブが獲れるであろう。
「サラさん」
『うん、何かな?』
 ニット帽を目深に被った女性がにっこりと笑った。
「2週間後、あなたと同じ人が現れます。私に止めることが出来るのでしょうか?」
『そんなことを言うなんて、ヴァンさんらしくないよ』
「私だって、弱気になることはあります」
『大丈夫だよ、今度はきっと上手くいくよ』
「そう言われると、とても勇気になります」
『お礼を言うのは、私のほう。ヴァンさんとこうやってまたお話しすることを出来たことが嬉しいから』
「来年もまた来てよろしいでしょうか?」
『うん。私も来年、ここで待っているよ』
 そう言うと、サラさんは森の中へと消えていった。
 それは自分が都合よく作り上げたサラさんの幻に違いない。それ以外に筋の通る理由がないからだ。
 それでも、私は救われた。
「私に出来ることは知れていますが、彼ならきっと出来るかもしれません」
 私は空を見上げた。
 雲に覆われていた空は、何時の間にか光が差し込んでいた。
「夏目大和さん、あなたの幼馴染みの星野そらさんを止めることができるのはあなただけです。そのためなら、我々は力を惜しみません。ですから、同じ悲劇だけは起こさないで下さい」

第20話 終わり 

 どうでしたか、今回のカノゴクは。
 第20話を書き終えて個人的な感想としては、慣れないことをすると上手くいかないものだ、もっと勉強するべきだと反省すべきことが多かったですね。
 例えば、ヴァンが訪問した国の風景。自分としてはイタリアあたりのことをイメージして、色々とネットで調べたり、本を読んだりしたんですけど、付け焼刃のせいか全然駄目駄目。これはリリィの写真趣味のことについても当てはまるんだけど、普段から趣味に持っていたり、それを体験しておく必要がある。そんなことを実に持って知りましたね。
 あと、戦闘描写も微妙。もっと分かりやすく、かつスピーディーに書けそうなんだけど、とにかく雑。文章も、アクションも、インパクトも。個人的には破壊描写あたりなんかにこだわったつもりなんですけどねえ……。とにかく上手くいかないものだ。

 苦労しながらも、楽しく書いているオリジナルのライトノベル、カノゴク
 第21話の更新予定は完成次第なので、ちょっと不明。ただ、可能な限りは急いで完成させますので。
 というわけで、その時はよろしくお願いしますね!!