免疫が無いもんで…。

 リアルには耐性がない蔵間マリコです。
 うちの警備会社の事務所には、数ヶ月前ほどに入社してきた事務員がいる。その事務員は、自分よりも3つほど下で、そこそこ美人で可愛い女性である。で、何でそんな人が年寄り7が若者が3みたいな構成(最近、不景気のせいか崩れつつある。)をしている会社にいるかというと、どうやら就職難でなかなか就職する事が出来ず、こんな零細企業に就職したようだ。世知辛い話といえば世知辛い話である。でも、そんな荒波を越えてきたせいか、他の事務員よりもなかなか頑張っているようで評判も良く、自分たちみたいな労働班からも良く見られているようだ。そんな会社のマスコットガール的な彼女なのだが、今日の朝、完全には覚醒していない脳を一発で覚まさせるほどの出来事があった。
 朝6時半。自分は、警備場所のローテーションの関係で、何時もよりも早めの時間に登社した。だが、思ったよりも会社についた時間が早く、暇を持て余している。仕方ないので、休憩室でブラックコーヒーを飲みながらでも風来のシレン4をして時間を潰すかと、ソファーの上でくつろいでいた。すると、その話題の事務員さんが。どうやら、ゴミ箱に溜まっていたゴミを回収しに来たようだ。こんな早い時間にご苦労なこった。そう自分が思っていると、事務員さんは思わぬ一言を言ったのだ。「おはよう、○○○ちゃん。今日も頑張ってね。」(○○○はプライバシーの関係で伏せました。)と。

 一瞬、何のことだかよく分からなくなってしまった。いや、労いの言葉をかけているのは分っている。問題なのは、その前の台詞である。「おはよう、○○○ちゃん。」、こんな呼び方で呼ばれた事なんて無いぞ。何時もは、さんづけで呼ぶのに、この時はちゃんづけ。正直、面食らったとはこの事と言えよう。
 自分は、あまりの恥ずかしさに、それに対する返事をするのを忘れるほどぐらいに脳がオーバーヒートしてしまった。赤面赤面。多分、冗談か何かのつもりで言ったんだろうけど、そういった気なんてさらさら無いんだろうけど、単に自分の深読みすぎなんだろうけど、こういうのに対しては全くといっていいぐらい耐性がない。生まれてこの方、女の人にこんな呼ばれ方をするなんて初めてなのだから(小学生から、おじさんと呼ばれた事はあるが…。20代でおじさんかぁ…。精神的に参る…。)。
 いや、小・中学生の頃は結構仲の良い幼馴染(一緒にお祭に行ったり、色々訳あって泊まらせてもらったり…。)もいたんだけどね。ただ、友人以上恋人未満の関係だったからなあ…。あとは、ギャルゲーとかのヒロインとか…。でも、あれは二次元の世界の話であって、別に自分の事を指しているわけでもないし、ああいうのにはもう十数本しているから、かなり場慣れしているからねえ。ちゅーか、そういうのと同列に考える事事態おかしいか。

 そんな思わぬサプライズのおかげか、今日一日の仕事は妙に調子付いていたような感じであった。空気抵抗をやたらと受ける重たい旗もなんのその、大きくて運ぶのにも面倒な立て看板の持ち運びもなんのその。まさに、当社比30%UPな働きをしましたとさ。
 ちなみに会社に戻った後は、その事務員さんに缶コーヒーを奢ったりして。そんな気が無いと分かっているけど、一応のフォロー。今思うと、この行動はベタすぎて恥ずかしすぎる…。