ファイブスター物語

 生きているうちに、完結するかなあ…。
 まだ、10分の1も終わっていないのに…。

 ロボット漫画もSF漫画もファンタジー漫画も全然守備範囲な蔵間マリコです。
 今日、地元の大型複合書店にてとある漫画を買った。知る人知るぞの人気メカニックデザイナー、永野護の傑作SFロボットファンタジー漫画…、いや、おとぎ話『ファイブスター物語』(以下、FSS。)の再構築版『ファイブスター物語 リブート』(以下、FSSR。)だ。
 このFSSRは、ニュータイプで掲載された時の同じページ構成に再編集し、更に今まで公開されていなかった設定などを載せたものである。ぶっちゃけた話、細かい所を変更した新装版というところかな?
 自分は、FSSの単行本は全巻持っているんですけど、新装版や文庫版とかが出たらもう一冊集めるんですよねえ。ローゼンメイデンの時もそうだったし、ジョジョSBRの文庫版が出たらそっちも買う予定だしね。正直、漫画とかに興味が無い人にとっては、馬鹿馬鹿しい事もかもしれない。
 でも、新装版は新装版での魅力があるのも事実。旧装版とのページ構成が違う事があるため、まるで別の漫画を読んでいる感じだし、既に公開されている設定と未公開だった設定との比較が出来てなかなか面白い。無論、このFSSRも該当する。ただ、FSSに関しては「これで何度目か!!」とか「読者全員サービスが滅茶苦茶高すぎる!!」とか「今年上映されるゴティックメードもいいが、さっさと連載再開しろ!!」とも叫びたくなるが。それでも買っちゃうのがファンの悲しい性…。

 しかし、これでもかと言いたい文句が山ほどありますけど、なんだかんだいってFSSは凄い漫画の一つだと思う。何ていうのか、良くも悪くも「無駄に凄い」という感じだろうか。キャラクター然り、世界観然り、設定然り、作画の細かさ然り、壮大さ然り、休載の多さ・長さ然り…。
 例えば、設定。このFSSは、世界観的にはSFそのものなのだが、様々な点においてファンタジー色が非常に強いんだよね。この世界では、モーターヘッドと呼ばれるロボット同士の決闘と騎士と呼ばれる驚異的な身体能力の者やダイバーと呼ばれる超能力者が出るのだが、モーターヘッドは騎士や侍といったようなデザインをし、飛び道具を主とせず実体剣(刀)や棍棒、斧といった騎士の決闘そのものを髣髴させるような戦闘を行う。騎士は騎士道と武士道をまるであいがけしたような概念となっているし、果てには忍者みたいなやつまで現われる。他にも、星一つを瞬時に滅ぼすドラゴンとかどんなに肉体がグチャグチャになっても復活できる命の水などなど…。パッと見ではファンタジー的である。
 その一方で、モーターヘッドを制御する生体コンピューター的であるファティマは未来人的なデザインを様相しており、騎士も深く掘ればSF設定てんこ盛り、ダイバーなんかは魔術師というよりもSF世界の超能力者そのもの、本陣となる本拠地なんかも浮遊戦艦だったり、そもそも戦争が星間レベルの大規模なものだし…。いうならば、上手く纏まった中二病ノート的なごった煮だろうか。そのくらい不思議かつ綿密に、そして膨大に綴られている。
 それとか、登場人物の膨大までもの多さも特徴的。主人公の天照帝をはじめ、レディオス・ソープ、ラキシス、クローソー、アトロポス、メガエラ、静、アウクソー、コーラス23世、クローム・バランシェ、クリスティン・V、ヤーボ・ビート、ボスヤスフォート、デコース・ワイズメル、すえぞう…。久しぶりに読んだから、記憶にあるのはこれぐらいだろうけど、12巻までに優に200人以上は登場しているんじゃないかと思う。それも、一人一人細かいエピソードがあるからなんとも…。年表でいうと10000年以上続いているから、そのくらい出さないと割りに合わないのだろうが、とても覚えれんぞ…。
 ちなみに、個人的に好きなキャラは、ダグラス・カイエン。普段は眼鏡をかけた少しさえない感じの男だけど、剣聖という称号を持つのに相応しいほどの凄腕の騎士である。その彼のエピソードはどれも印象的なもので…。女好きとしての素行、ファティマ・アウクソーの決死の行為と奇跡、そして壮絶な最期…。戦闘しているという印象はあんま無いんだけど、これほど波乱万丈に満ちたキャラは作中にいないと思う。彼のエピソードだけでも、1時間は話せそうだ。

 とにかく凄いとしか言いようの無いおとぎ話、FSS
 1巻あたりの値段が結構高いから、FSSRの次巻を買うのはかなり後になりそうだが、まあ急いでも買うものでもないし、じっくり揃えていきますわ。
 それにしても永野護さん、そろそろ話を進めてくださいよ…。銀河英雄伝説とかベルセルク以上に連載スピードが遅いのですが…。年というのもあるし、細かすぎる作画だから時間がかかるのは分かるけどさ、あまりに遅すぎるのはちょっと…。