いや、そんな!あの手は何だ!窓に!窓に!

 先の読めない展開に、ワクワクしている蔵間マリコです。
 本当に、今週は超展開を超える超展開で、途轍もなく面白いですねえ。週刊ヤングジャンプで大人気連載中の岡本倫の純愛ダークファンタジー漫画『極黒のブリュンヒルデ』が。
 毎回が毎回スゴイ内容ですが、今回はたんの漫画でも1・2を争う衝撃度に、度肝を抜かされましたよ。何せ、○○の○○○○が○○○○○して、○○○○が現われたのですから。極黒のブリュンヒルデが連載開始されて以降、ますます上り調子なたんですが、ここまで実力を上げるとは…。たんの才能は底が知れん。
 とまあ、更にヒートアップしている極黒のブリュンヒルデですが、今回も例によって考察のコーナーをするっす。当然、ネタバレありまくりの内容ですので、まだ読んでいないとかコミックス派の方は、ここまで。既に今週分を読んだよという方、またはネタバレ全然OKという方は、こちらへ。
 さて、今回の御題は、もっとも衝撃的な展開だった、あの謎の怪生物。自分は、この怪生物の事を『クトゥルフ神話』の『旧支配者』と書いているけど、ちょっとその事に触れたい。
 クトゥルフ神話、それは20世紀初期の小説家であるハワード・フィリップス・ラヴクラフトが大元とし、作家のオーガスト・ダーレスにより確立させ、多くの小説家が書き加えた、宇宙的恐怖(コズミックホラー)的神話体系である。自分も、あくまでもかじった程度のものだから全てを知るわけではないが、簡単に説明すると、人類が生まれる前から、地球に存在する旧支配者(他にも、旧神とか独立種族とか奉仕種族とかあるけど、そこは割愛する。)と呼ばれる強大すぎる宇宙生物(生物ですらどうか怪しいが。)の存在に、大河の一滴に過ぎない人間たちが、その謎の解明を挑むというものだ。
 とはいっても、その存在を知ったものの大半は、悲劇的な結末を迎えるのだが。それもそのはず、クトゥルフ神話で語られる旧支配者というものは、地球上に存在する生物の常識の範疇を凌駕し、それに対して人間は無力に近いのだから。そんなとんでもない存在を知って、正気でいられるはずがない。それが、異次元的な生物となると尚更だ。
 そして、これに感化された作品は数多く存在する。『ヴァンパイアハンターD』や『エイリアン』、『女神転生』シリーズといった古くからある名作も影響を受けているし、『ワイルドアームズ』シリーズや『デジモン02』のダゴモン回、『魔法少女リリカルなのは』もそれにあたる。今期のアニメだったら『Fate/Zero』や『這いよれ! ニャル子さん 』なんかがそうだ。更に、ギャルゲーやエロゲーとなると、『アトラク=ナクア』、『デモンベイン』、『沙耶の歌』、『ク・リトル・リトル』などなど…。最近のは、美少女ものとかになっていたりするけど、探せばいくらでも見つかる。それほど、知らず知らずに日本に定着しているSFのジャンルなのだ。

 さて、本題の極黒のブリュンヒルデに登場した怪生物だが、個人的には『這い寄る混沌』こと『ナイアーラトテップ』あたりかと考えている。
 ワイルドアームズの『はいよるこんとん』や這いよれ! ニャル子さんの『ニャル子』(この場合は、ニャルラトテップと読む。)のモチーフとなっている旧支配者だが、特徴としては顔の無い人型をした肉の塊ではあるが、千の顔を持つ男という異名を持ち、様々な人間に化ける能力を持つ。そして、時に人に魔法や秘法、機械を与えるが、何れも破滅へと追い込まれている。その目的は、人間及び他の旧支配者への冷笑であり、最終的には終末の近付く世界で、死者に生を与え、生者には死を与えるそうだ。言わば、クトゥルフ神話のトリックスターであり、最強の旧支配者なのだ。
 正直、これが正解であるという明確な証拠はない。ただ、1話目の既に宇宙人に侵略をされているという件を見る限り、そして魔法使いが人型である事を考えると、ある程度は筋が通る。となると、もしかすると施設の責任者も宇宙人に利用されており、すでに狂気に曝されているのでは?まあ、これが当っているとは思わないが、当ったら当ったで大変な気がする…。世界が終わるぞ…!!

 超展開のあまり、予想のつかない極黒のブリュンヒルデ
 果たして、あの生物の正体がクトゥルフ神話に登場する旧支配者の類なのだろうか?それとも、そういったものとは別の地球外生命体なのだろうか?はたまた、宇宙人でもなんでもない存在なのだろうか?とにかく、予想がつきません…。