超級!機動武闘伝Gガンダム 新宿・東方不敗!

 熱い漢の物語も、ガンダムとしてはアリだな。

 SF的な面白さも良いけど、少年漫画的王道ストーリーを混ぜても悪くないと思う蔵間マリコです。
 新章に突入しても、相変わらずの面白さですねえ。機動戦士ガンダムシリーズの中でも異端作である、『機動武闘伝Gガンダム』のリメイク漫画、『超級!機動武闘伝Gガンダム 新宿・東方不敗!』が。
 先週、新宿・東方不敗編の2巻が発売されて、今日地元の大型複合書店で買いましたが、楽しみに待っている甲斐だけはありますわ。無骨で泥臭さを感じながらも、同時にダイナミックさとインパクトを醸し出すデザイン、個性的で魅力的な登場人物の数々、グイグイ勢いで引っ張る熱いストーリー、そして島本和彦らしいギャグテイスト。原作もなかなか面白いが、超級!超級!でなかなか面白い事。
 特に、2巻はGガンダム最大の人気キャラ、東方不敗マスター・アジアが本性を露にし、マスターガンダムを引っさげて登場しますからねえ。東方不敗と名乗るだけに恥じない台詞回し、マスターガンダムの名前に負けない圧倒的な強さも健在。特に、見開きを使っての台詞とそれに続く東方不敗の表情は圧巻そのもの。いや~、これでこその機動武闘伝Gガンダムだ。

 とまあ、何時もの超級!機動武闘伝Gガンダムに満足満足ですが、ガンダム作品という枠において、東方不敗は偉大な人物の一人だと改めて実感させられる。
 東方不敗Gガンダムをゲームなんかで知った人が語ると、大体は『MSを素手で倒す凄い人』とかみたいな評価をしている人が多かったりする。まあ、それはそれで初登場時の印象としては充分に納得のいくものだと思う。ただ、自分はそういうビックリ超人としての枠でだけでなく、全体的な人物像として高く評価し、作品の根幹であると見ている。
 戦争を最小限レベルに留めるために存在するガンダムファイターでありながらも、『地球がリングだ!』であるため、荒廃していく地球環境を守りたいという感情を抱き、デビルガンダムに協力した東方不敗。その行為そのものは、正しいとは言いがたいが、ガンダムファイターの一人が疑問に感じてもおかしくない問題だと思うし、それは充分に理解しえるものだと思う。
 そして、それに対しての解答は、Gガンダム屈指の人気回『さらば師匠!マスターアジア、暁に死す』でまじまじと描かれている。自然を守りたいために地球には人類不要だと語る東方不敗、人間も自然の一部であり、ガンダムファイトを必要悪とするドモン・カッシュ、その合い交えぬ主張を拳で語り合う。少年漫画の一つの山場の形を描きつつも、ガンダムのクライマックスのお約束である戦闘中の口論を上手い具合に組み込む技量には、感嘆するばかりだ。
 その互いの主張のぶつかり合いの〆は、ドモンの師匠越えと永遠の別れにある。ドモンは戦いに勝利したものの、患っていた病気も追い討ちとなり重篤の東方不敗。しかし、東方不敗は満足げな笑顔であった。師匠としての役目を果たし、人類の未来を弟子のドモンに託す事が出来た。全てをやり遂げ、残す悔いなく逝った東方不敗。暁の空で涙するドモン。その光景は、師弟関係のモデルそのものである。これを見事に描ききったGガンダムのスタッフ、特に東方不敗の声優である秋元羊介さんを高く評価したい。

 地球のことを誰よりも大切に思い、ガンダム史上最も熱かった漢、東方不敗
 さて、超級!機動武闘伝Gガンダム東方不敗は、これから先も原作顔負けの活躍を見せてくれるだろうか?自分としては、島本和彦の独特の空気のギャグを交えながらも、王者としての威厳のある姿を披露してほしいものだ。