だんだん掲載量が増えているなあ……。

 語彙力と文章力が残念な蔵間マリコです。
 さ~てさて、2週間ぶりの更新となりますよ~。貧乏高校生とネコ耳宇宙人二人の共同生活を描いたSFファンタジーライトノベル『彼女たちの極秘事項(トップシークレット)』が。
 いや~、ここ最近の進捗状況はなかなかいい調子でありまする。少ない時間ながらも、一日におよそ2ページ程度の更新、休日だと4ページ近くは更新していますからねえ。イラストの件はともかく、ノビノビとしながらも安定したペースで書けていますよ。まあ、上手いか下手は別の話ですが。言っておきますけど、ちゃんと小説の描き方ぐらい勉強していますから!!
 ただ、小説を書くペースはともかく、このまま1・2週間ペースで更新したら、第3話の部分に入っちゃうんですよねえ……。そうなるとちょっと不都合が起こっちゃいまして……。それにプロローグの部分がめっちゃ不満がある内容ですから、もう一度書き直したいですし。そうなったら、1ヶ月ぐらい、このコーナーの更新がストップするかもしれません。もし、そのような状況になったとしたら許してくださいな。
 前座がちょっと長くなりました。そろそろ本編に入りたいと思います。今回は特に長いので、誤字や脱字が多いかもしれません。アドバイスと同時に、そのような部分を指摘してくれると非常にありがたいです。
 それでは、今回の彼女たちの極秘事項(トップシークレット)をどうぞ。
                  第2話 セカンド・インパクト(5)

「い、生きてて……良かった……」
 俺の顔は出来の悪いじゃが芋みたいに変形してしまった。今、生きているのが不思議なくらいである。いくら何でも三人とも本気で殴らなくとも……。特に武士、お前は陸上部の主将なんだから少しは手加減をしてくれ……。
「大和くん、これで全部なの?」
「嘘をつく必要ないだろ」
 猜疑の眼で見つめるそらに対して、膨れた顔で俺は必死に弁明する。これ以上殴られて、出来の悪いじゃが芋から地面に叩き付けられたトマトになるのだけは勘弁だ。
「世の中、変わった子がいるものだな。ネコ耳にネコの尻尾。まるで、アニメかゲームに出てくるようなキャラクターだぜ」
 ネコ耳少女のネコ耳を撫でるように触る武士。替えのTシャツとボクサーパンツを着たネコ耳少女もそれが気持ちいいのか、ゆったりとしている。
「それは俺も同じだ。最初はアニメのコスプレあたりだと思っていたのが、お……」
 俺は、「お風呂に入った時に、直についていることに気付いた」と言おうとしたが、墓穴を掘ることになるので、これ以上言うのは止めた。
「ネコ耳に、ネコの尻尾……。大和くん……、この子ってもしかして……」
「なんだ?」
 そらのことだから言いたいことは概ね想像ついたが、一応は聞いてみた。
「宇宙人じゃないの?」 
「言うと思った」
 俺は、呆れた口調で返答した。ミミは、クエスチョンマークを宙に浮かべた。
「だって、ネコ耳やネコの尻尾を生やした女の子って、普通はいるの? 普通はいないでしょ? だから、普通に考えても駄目なの」
「まあ、そうだけど……・。だが、お前が『普通』って言葉を使ってもなあ……」
 今回に限っていうのならまだしも、毎日毎日宇宙人とかUFOのことを言っているから、普通もへったくれもない。説得力ゼロだ。
「そうだよね、ネコ耳宇宙人ちゃん」
「うにゃあ!!」
 笑い顔でこくりと返事をするネコ耳少女。
「やっぱりー、ネコ耳宇宙人ちゃんは宇宙人ちゃんだよー」
「言っていることが分からないから、適当なことを言っているだけだろ」
「ううん、私には分かるの。ネコ耳宇宙人ちゃんが言っていることを」
 宇宙人のことはやたらと詳しいけど、流石に宇宙人の言葉が分かるはずがない。腐れ縁ではあるが、そらがここまで電波な人間だとは思わなかった。
「そんなに信じないんだったらネコ耳宇宙人ちゃんに何か言ってよ。私がそれを翻訳するから」
 自信満々のそら。その自信はどこから来ている?
「じゃあ……、お前の名前はなんなんだ?」
「にゃーうにゃあにゃにゃんにゃにゃうにゃあん、うにゃにゃんにゃんにゃん」
 例によって、意味不明な言葉。しかし、そらは違っていた。
「ミューナ・ミュスティール・スコティッシィって立派なお名前があるんだよね、ねえ、ミミちゃん」
「にゃにゃん!!にゃんにゃん、にゃーん!!」
 大げさなリアクションで返事をするネコ耳少女。対し、そらは何事もなく会話している。
「とてもそういう風に言っているとは思えないが……。まあ、名前が無いのは困るから、ミミでいいか」
 全く、そらの不思議ワールドにはついていけない。そらの頭の中では、どのような思考回路が働いているのだろうか? 頭の中を見れるのなら一度見てみたいものだ。
「ところで大和、ミミちゃんの両親をどうやって探すんだ? 連絡先も分からないんだろ」
 武士が最重要項目に話題を移す。俺としてもそちらの方が気が楽だ。
「そうだよなあ……、手がかりとなるようなものが殆どないからなあ……」
「そうだよねえ……」
 六畳一間の安アパートの一室で俺を含めた三人は悶々としてしまう。
 そんな中、突然にミミは髪飾りの一つを取り外す。近未来感を漂わせる大きくて丸い髪飾り、ミミはそれに刻まれた淵を沿うように指で触れる。すると、どのようなトリックが施されていたのだろうか、髪飾りはパカっと開いたではないか。そして、その中から一枚の鉄の板が姿を現す。そう、昨日の夕方に出会った少年が持っていたものと同じものが。
「にゃーん、にゃあにゃ」
 鉄の板から、昨日と同じく立体的な映像が現れる。ただし、映っているものはミミらしきネコ耳少女ではなく、あの青髪の少年だ。全く同じ格好で。
「なんなのこれ? もしかして、地球にはないロストテクノロジーで作ったものなの?」
「馬鹿なこと言うな。東雲家電の作った試作品か何かだろ」
 頭ごなしに俺はそらを叱咤したが、よくよく考えればおかしな話だった。いくらここ十数年で科学技術が急激に発展したとはいえ、いくらなんでも飛躍しすぎている部分がある。仮にトップシークレットであったとしても、今の技術で作れるかどうかは考え辛い。あの時、どうしてそれに気付かなかったのだろうか?
「これが家族なのか、ミミ」
「うにゃん!!」
 そらに翻訳してもらう必要はない。あの少年は、ミミの親族のようだ。
「うにゃあ、にゃあにゃあにゃにゃんにゃあ」
「名前はデュタだって」
 本当にそれを言っているのかどうかはともかく、呼び名があるだけでも有難い。
「それにしても、見れば見るほどカッコいいな。アイドルだったら、女衆は確実に黄色い声を上げるぜ。かーっ、羨ましいぜ」
「うん、この人がアイドルだったら、私もサイン貰いたいな」
 男女問わず、魅了するその美貌は映像ではあるものの、殆ど色褪せない。本当にカッコいい人物というものは、本人でなくともオーラを纏っているのかもしれない。
「あと、これだけは聞いておかないとな」
「一体何を?」
「ミミちゃんがどこから来たのかだ。住所と電話番号をさ」
 自力で探すことばかりに力を入れていたが、これこそ一番重要な要素だった。どちらかが分かれば、一発でデュタの元に送り届けるが出来る。それで、事件は万事解決だ。もっとも、そらの翻訳があっていればの話だが。
「ミミ、お前はどこから来たんだ? もしかして、宇宙とか言わないだろうな?」
 宇宙人なんか存在しないとは思うが、一応、釘を刺しておいた。宇宙人の話題で話が脱線するのはもうこりごりだ。
「にゃんうにゃあにゃーにゃあにゃん」
「ミミちゃんが来た場所は『アル・ビシニアン』っていう場所らしいの」
「「アル・ビシニアン!?」」
 それは一度たりとも聞いたことのない名称だった。その響きは、奇妙で聞きなれないもので。
「おい、大和。アル・ビシニアンって聞いたことあるか?」
「知るわけがないじゃないか、最近出来た国なんじゃないのか?」
 そうでも思わないと合点がいかなかった。それともミミは、不思議の国からでも遊びに来たとでもいうのだろうか?
「にゃにゃあにゃにゃにゃうにゃーん、うにゃんにゃんにゃー。にゃにゃにゃーんにゃあ」
「寝る前までは家にいたけど、目が覚めたらよく分からない場所にいたから大和に出会う前までは怖かったらしいの。お腹もとても減っていたの」
 そらの通訳から明らかになっていくミミの経緯。そらが適当なことを言っている可能性もあるかもしれないが、状況から察するに間違ってはいないようだ。現に、昨日に作った即席料理をがっついていたのだから。
「こりゃあ、とんでもないものを拾ったもんだな」
「他人事みたいに言うなって」
 それは俺も分かっている。これが学生一人で解決できる問題ではないことを。だけど、デュタという少年が警察を利用してはいけないとも言っていた。だから、下手に動くことも出来ない。
「う~ん、どうしたことやら……」
「そうだよねえ、大和くんのところにずっと預けておくのも危ないし」
 ニヤニヤと笑うそら。とんでもなく含みのある笑いだ。
「それ、どういう意味だよ。もしかして、俺が変なことでもするっていうのか?」
「うん」
 即答だった。
「すっげー落ち込むわ、それ……」
 ハートにぐさりと刺さる一撃に、思わずうなだれてしまった。
「はははは、全然信用されていないな、大和」
「勿論、武士君もね」
 即答だった。
「冗談だろ、そらちゃん……」
 ハートにぐさりと刺さる一撃が、武士も同じくうなだれる。
「大和さま、ネコ耳少女さまの服を持ってきましたわ!!」
 ドアを思いっきり開ける音と快活な声ともに妙が戻ってきた。
「あ、妙ちゃん。お帰り」
「あれ、二人ともどうしたのですか?」

 15分後。
 ミミは洗面所で着替えを済ませた。その姿は、ピッタリという言葉以外出ないほどのコーディネートであった。
 フリルが清潔感を醸し出す白いブラウスに、黒を基調とした洗練されたデザインのスカート、白いリボンがアクセントとなる黒いショートソックス、シンプルでありながらも他の衣装に負けない存在感を漂わせる黒いチョーカー。
 白と黒が織り成す世界。御洒落をしっかり意識しながらも、ネコ耳やネコの尻尾がちゃんと隠れる見事なまでもの仕上がり。これなら、あまり怪しまれずに済む。
「これ、わたしのおさがりなんですけど……、お気に入りだったんです。どうですか?」
「驚いた……。妙って、料理やスポーツ以外にも出来るんだな」
 昨日もそうだが、妙の多才ぶりには舌を巻く。どうしたら、ここまで完璧にこなすことが出来るんだ? 男ながらその完璧超人っぷりは羨ましいものがある。
「にゃにゃんにゃん!!」
「や、やめてください、ミミさま」
 嬉しさのあまり、むにゅっと胸に飛びつくミミ。気恥ずかしいのか、それとも気持ちいいのか紅潮させている。役得だな、ミミ。
「さて、準備も出来たことだし、そろそろ決めようぜ」
「何を決めるんだ、武士?」
「何をって? 二手に分かれてデュタを探すんだ」
 そうだった、すっかり話が脱線していた。デュタを探すのことが目的だったんだ。だけど、わざわざ歩いて探す必要があるのか?
「探すのはいいけど、ネットで情報を集めるという選択肢は? 上手くいけば、一発で見つかるかもしれないぞ。手間が省けるじゃないか」
「それは俺も考えた。でも、この子は宇宙人だぜ。っていうことは、こういうのを調べるのはダメっていうのはアニメや漫画の相場じゃねえのか?」
 昨日もそうだが、武士に自覚がないだけでそらウイルスに罹っているんじゃないのか? 宇宙人の件もそうだが、それを追う巨大組織というのも非現実すぎる。
「大体、警察には言えないようなことなんだろ。ネットで調べたとしてもかなり危ないぜ」
「それはそうだが……」
 それを言われるとどうにも反論できない。
「私も武士君の案に賛成なの。こんな可愛いネコ耳宇宙人ちゃんを放っておくわけないよ」
「わたしも賛成ですわ。優しい大和さまもそうですよね?」
「にゃんにゃにゃあーん!!」
 1対4。どうにもこうにも状況が不利すぎる。ここは折れるしかない。
「分かった分かった、今日一日は俺たち4人でデュタとやらを探そう」
「そうだな」
「やったー!!」
「大和さまは!!」
「うにゃー!!」
 俺の出した結論に満足する4人。ただし、完全に主導権を渡すわけにはいかなかった。このまま4人に決めさせたら、好き勝手にされてしまう。
「じゃあ、俺と武士が海側を探す。そらと妙とミミが山側。それでいいな?」
「ちょっとちょっと、大和くん!? 勝手に決めないでよ」
「大和さま、わたしと一緒にいたくないのでしょうか?」
 そらと妙が雪崩の如く反論をする。しかし、俺は異論を受け付けるつもりはない。
「まあまあ、落ち着けって。こういう風に分けたのには理由(わけ)がある。俺はデュタという少年を見たことがあるからある程度の情報が分かっている。その一方で、お前はデュタ本人と出会ったことはないが、ミミと会話が出来る。だから、バランスよく探すのにはこれが一番。そう思うだろ、武士?」
「あっ、ああ……、俺もそれで構わないぜ」
 突然意見を振られて、動揺気味の武士だったが、幸い話を合わせてくれた。
「なっ、武士もそう言っているんだし、それでいいじゃないか」
「う~ん、納得いかないけど仕方ないや」
「分かりましたわ……」
 俺の意見にしょげるそらと妙。
「あと、もう一つ注意しておくことがある」
「「「「?」」」」
 俺を含めた四人がきょとんとする。
「ミミがネコ耳とネコの尻尾を生やしていることを話さない」
「私たちの極秘事項(トップシークレット)というわけなのね」
「そういうこと。バレると面倒なことになりそうだからな」
 当たり前ではあるが、事前にこういう事を決めておかないと後々厄介なことになる。特に、そらあたりからポロリと零れそうで怖いからな。ここで釘を刺しておいた方が得策だ。
「よし、大体のことを決めたことだし、そろそろ出かけますか」
 俺は腰を上げ、安物のハンガーに掛けていた安物のベストを羽織った。
「ええ、ミミさまのためにわたしも頑張りますわ!!」
「ミミちゃん、今日一日一緒に探そうね」
「必ず見つけてやるからな!!」
 各々に発せられる、気合付けの言葉。意味そのものを理解できているかどうかは知らないが、ミミにとってそれはとても喜ばしいものであることは理解できた。
「んにゃ!!」
 満面の笑みとともに流れる一筋の涙。それが証拠であった。

 どうでしたか、彼女たちの極秘事項(トップシークレット)連載18回は。
 今回は、主人公の夏目大和の部屋での会話がメインでしたが、様々なギミックをばら撒いてみました。どうして、そらがミミの言葉を理解できるのか?アル・ビシニアンとは一体何か?ミミと少年の関係とは一体何か?他にも、色々とリアクションなんかに注意して、いかに読み手を楽しませるかを考えて書きました。個人的には頑張ったつもりですが、どうでしょうか?
 あと、やっとタイトルともいえる極秘事項(トップシークレット)という用語を使いました。勿論、耳に対してのことですよ。ただ、言っておきますが、『彼女たち』のでありますから!!これは謎の一部に過ぎません。当然ながら、これだけでなく色々と他のキャラにも秘密がありますよ。大なり小なり、これからも伏線や謎を張っていく予定です。とてもとても長い物語になるかもしれませんが、最後までお付き合いしてくれると光栄です。
 とりあえず、今回の彼女たちの極秘事項(トップシークレット)はここまで。次回は来週更新の予定。なかなか上達していないかもしれませんが、その時もよろしくお願いします。