取りあえず山は越えたけど……。

 楽しみながら書いている蔵間マリコです。
 さ~てさてさて、今週も更新ですよ~。貧乏高校生とネコ耳宇宙人二人の共同生活を描いたオリジナルのSFファンタジーライトノベル『彼女たちの極秘事項(トップシークレット)』を。
 もはや、毎週恒例となっているこのコーナーですが、今回で第3話は終了。これで、一段落となります。いや~、ここまで辿り着くのに随分と時間がかかりましたねえ。3話まで書き終わるのにおよそ1年、投稿期間でいうと10ヶ月、ブログの記事数でいうと28+1ですからねえ……。イラストを描いていた時も遅くなったというのもありますが、本当に遅すぎるぐらいですよ。
 で、現在のペースは一日2ページ、1話を書きあげるのに50日ペースっていう感じですね。まだまだ遅いけど、書くスピードそのものは格段にアップ。ストーリーや文章力については……、アホの子ですので、今一つ上達したという感じが……。いや、これでもちゃんと調べたり、自省もしているのですが……。
 とまあ、楽しみながらも苦戦している今日この頃ですが、そろそろ本編に入りたいと思います。あまり上手くありませんし、誤字・脱字なんかもあるかもしれませんが、そういうのを含めてアドバイスしてくれると非常にありがたいです。それでは、今回もどうぞ。
        第3話 第四種接近遭遇(フォース・カインド)(エピロローグ)

「や、やめてくれっ!! これは誤解だ!!」
「問答無用!!」
「やはり、お前は可愛い女の子を誘拐する大馬鹿野郎だったとはな!!」
「大和さま、見損ないました!!」
「んぎゃああああああぁああああぁあぁっ!!」
 薄暗い室内で立体幻像(ホロミラージュ)に映る安アパートの一室。そこでは、直視出来ぬほどの修羅場が繰り広げられていた。
 3対1のどうしようもない戦力比。青年を囲む形で行われる、パンチとキックの暴力の嵐。それを見守るのが、2人のアル・ビシニアンだが、状況が把握できずにポカンとしている。
「ははははは。これは少し可哀そうなことをしたかもしれませんね」
 見るも痛ましく、そして滑稽な光景を眺めながら苦笑する銀髪のネコ耳少年。
「これで本当にいいんすか、部長? デリートしなくても。 最悪の場合、責任問題に関わるっすよ? それに何より……」
 茶髪の巨漢は、ぶつぶつと愚痴りながら不満そうな顔をして映像を見つめる。
「俺は、あの地球(セラン)人のことをこれっぽっちも認めてないっす」
「あの青年のことでしたら大丈夫ですよ。不安要素が無いというわけでもありませんが、それについてはどうにでもなると思いますよ」
「本当すか……?」
 いつもは有無言わずに上司の命令を聞き入れる茶髪のネコ耳の巨漢だが、この時ばかりは疑念に囚われていた。何も知らないあんな貧弱そうな男に、アル・ビシニアン二人と共同生活をさせることなど危険極まりない。ミューナに、そしてアイツに大事でもあったらどうする。左遷や放逐などいった厳罰よりも、彼にとっては2人の安否が重要なのだ。
 だが、彼の不安とは別に事が進む。
「部長、結果を報告します……」
 壁の一部分が消えてなくなり、目深なボブカットのネコ耳少女が入室する。
「どうでしたか? セレン」
「交渉成立しました……」
「成功しましたか。昔は頭が固かった上層部ですが、少しは柔らかくなったものですね」
 銀髪のネコ耳少年は、再生治療により修復した左腕で映し出された立体幻像を消した。代わりに部屋内が照明により、明るくなる。その腕はまだぎこちなく、完全に馴染むまでは少々時間がかかりそうだ。
 真っ白なパネルで構成された床と壁と天井という独特な内装に、地球に植生する観葉植物の数々。目に優しい緑青(ろくしょう)色の葉と鮮やかな白とピンクの花弁が、無機質な部屋を生活感溢れるものへと彩り飾る。
「これでは一段落つきましたが――これからは、少し忙しくなりそうですね」
 銀髪の少年は、お気に入りのデンドロビウムの葉をいじりながらつぶやく。デンドロビウムは、彼が地球(セラン)に赴任して初めて買った植物だ。
「はい……」
「本当っすよ……。あんな厄介ごとを抱えているなんて……」
 ボブカットのネコ耳少女は全く動じず、茶髪の巨漢はボリボリと頭を掻く。
「ですから、上層部に彼女らに協力して貰うという条件を提示したのですよ。これから起きるかもしれない一大事に備えてね」
 彼には思うことがあった。ミューナとデュタ、そして夏目大和という地球人の青年に立ち塞がる壁もそうだが、それ以上に懸念すべき点があった。地球(セラン)人の存亡に関わる危険因子(リスクファクター)についてだ。
 ただの取り越し苦労ならば、それでいい。だが、本当に起きたのならば水際で防がなければならない。もし、それが出来なければ――この蒼き星に未曽有の大災害をもたらすであろう。地球(セラン)人では手に負える相手ではない。我々、アル・ビシニアンでもかなり手間取る相手だ。
「上層部の失敗を我々が尻拭いしなければいけないとは……。まったく、厄介事を持ち込んだものですよ、上層部の方たちは……」
 白亜の天井を見つめ、誰にも気づかれぬよう真剣な面持ちで思いつめる。それは先までの軽口からは程遠く、鉛のように重たい言葉であった。

 どうでしたか?今回の彼女たちの極秘事項(トップシークレット)第29回は?
 今回は、3話目のエピロローグなので非常に短い内容となっていますが、自分なりに先の展開が盛り上がるようなラストにしてみました。まあ、これが自己満足の域ではなく、ちゃんと相手に伝わってくるものかどうかは少し怪しいですが。
 さて、今回でキリのいい所まで書きましたが、自分にとってここまで完成させたのは、自分でも相当頑張ったものだと思う。イラストの時もそうだけど、ストーリーがあるために地続きとなっている点で、かなりの労力が必要でしてね。でも、そんな自分でも出来るからこそ頑張れますし、明確なゴールが見えるからこそ楽しいんですよ。
 やっぱ、自分にはイラストといったフィーリング的なものよりも、文字を書くといったようなハッキリ見えるものの方が性に合っているのかもしれない。

 今回で一段落が付いた彼女たちの極秘事項(トップシークレット)
 来週は、残念ながらお休みです。いや、さっさと次の話に行かないとテンポが悪いというのは分かっていますが、書き溜めの方も増やしておきたいですし、記事そのものをまとめておきたいですしね。ですので、ワンテンポ置くという意味でお許しください。
 というわけで、次回のライトノベル更新はありません。ですが、再来週にはしっかりと更新する予定ですので、その時はよろしくお願いします。