極黒のブリュンヒルデも好きだけど……。

 一癖も二癖もある物語が好きな蔵間マリコです。
 さ~てと、水曜日ですのであのコーナーを更新しますよ~。2002年から2005年まで週刊ヤングジャンプで連載していた岡本倫の美少女SFバイオレンスラブコメディ漫画『エルフェンリート』を徹底的に語るコーナーを。
 さてさて、今回で第34回、すなわち第34話となりますが、このコーナーを更新しているとつくづく自分は岡本倫の漫画にどっぷりとはまっていると実感します。普通、この手の漫画って、アニメとか連載が終わったすぐ飽きる人がいますけど、自分はもう12年近く愛している。傍から見れば変な人(そもそも萌え系自体、一般受けしないジャンルだが)かもしれませんが、自分にとっては一目惚れそのものですからねえ。連載1話目を見た時に、体に電撃が走った。良い漫画に出会うとはこういうものかもしれない。
 とまあ、ちょっと話が長くなりました。そろそろ本題へと入らせてもらいます。当然ながら、岡本倫先生の独特の作風や管理人の独断と偏見が入りまくりです。そういうのが嫌だという人はここまで。別に大丈夫という人はどうぞ。
 第34話『lies

 ○あらすじ

 森の中で、角の生えた少女と出会ったコウタ。
 コウタは、少女を連れて、短いながらも甘くて幸せな時間を過ごす。そして……。

 ○登場人物

 コウタ、ルーシー、ユカ、カナエ

 ○ターニングポイント

 ・抗えぬ声

 バスで帰るコウタとルーシーの一幕。物語でも、最終盤に関わる重要な場面でもある。
 ここのルーシーの葛藤と約束は、回想でも好きなシーンの1つですねえ。コウタのことが好きだけど、それ以上にDNAの声がそれを遮り、人間という存在を拒絶する。人を殺したというのはルーシーの罪と罰他ならないけど、それでも悲劇であることには変わりない。
 そして、「私がもし…他のだれかを沢山殺すようになったら…コウタが…私を殺して…」。これは物語の結末を暗示させる台詞になっていて、多くの読者はどうやってコウタがルーシーを殺すのかと考えたはず。自分も勿論その一人です。どのように予想したのかは失念しましたが。

 ・思い出の詰まった瓶

 こちらも物語の最終盤、というよりも最終話に関わるシーンの一つ。
 このシーンを見て今思ったことなのだが、子犬の遺体の隣に瓶を埋めても大丈夫なのだろうか?白骨化した子犬を発掘したり、あんなに浅い所に埋めていたら瓶が大変なことになるのでは?まあ、漫画だからそこら辺をツッコむのは野暮な話か。

 ・砂浜で

 帰省最終日、コウタとユカとカナエのやり取り。
 ここのシーン、漫画版も好きですけど、個人的にはアニメ版の方が映えるシーンですねえ。カナエがコウタを呼ぶ時の間延びした台詞は妙に印象的なものですし、ユカが貝殻投げるシーンの能登麻美子さんの演技は悶絶もの。この後に悲劇が起こることは予想できるんだけど、それでもこの場面のやり取りは癒されて、そして切ないものであります。
 しかし、ここで本当に当たり所が悪かったらどうなっていたのだろうか?コウタがそのまま死んだとしたら、どのような展開を迎えたのだろうか?少なくともルーシーが祭りでのコウタとユカの姿を見ることはなかっただろうし、祭りを楽しんでいた人たちを殺害しなかっただろうし、コウタの父とカナエも殺害されていなかっただろう。まあ、それが吉だったのか凶だったのかは分からないが。

 ・嘘

 ルーシーが人間と決別することが決定的になった出来事。ルーシーにとって、コウタの嘘は重たいものであることは容易に想像がつく。
 しかし、このくらい歳の子供だったら別に言ってもおかしくはない嘘だからなあ……。それがこじれて、悲劇が起きたと思うと……。本当に皮肉としか言えない。

 ○まとめ

 ルーシーの心情の変化を多く描きつつ、物語の最終盤に繋がる場面を多数描いた回。
 コウタの目の前で起きた悲劇もそうだが、個人的にはこの回が回想の中でももっと重要な回だと思っている。

 ギャグとシリアスの塩梅が見事なエルフェンリート
 さて、明日は極黒のブリュンヒルデの感想の日。アニメ化も間近に控え、物語も最高潮となっているが、果たして良太一行の運命は?そして、ヴィンガルフとの戦いの行方は?それは、見てのお楽しみ。