トネガワ&ハンチョウ

 ただのスピンオフとは言わせないっ……!! 

 漫画は面白いことが一番重要だと思う蔵間マリコです。
 数日遅れてしまいましたが、しっかりきっかり買えましたよー。福本伸行の『カイジ』シリーズのスピンオフ、『中間管理録トネガワ』5巻と、『一日外出録ハンチョウ』1巻を。
 いや~、本編のカイジは色々と言いたいことがありますけど、トネガワハンチョウはそんじょそこらのスピンオフとは比較にならないほどの面白さですねえ。原作のキャラデザや作風をしっかりと尊重しつつも、スピンオフとしての個性をしっかりと引き立たせる。これが当たり前だというのに、それができていない漫画が多い。
 特に第1巻が発売したハンチョウトネガワに負けず劣らずの面白さでして……。というわけで、今回はハンチョウについてでもガッツリ話したいと思います。トネガワは以前の記事で書きましたし、自分が応援している岡本倫先生のパラレルパラダイスと同じ週刊ヤングマガジンですからね。やはり、ここで一度話せるだけ話さないと。

 今から半年前のこと、ネットで驚愕的な情報を得た。大人気連載中のトネガワに続いての、スピンオフ第2弾のハンチョウが読みきり掲載されることを。
 俺は目を疑いましたね。まさかトネガワが面白いから、2匹目のドジョウを狙うという安易な考えなんてっ!!しかも、大槻班長という、利根川幸雄に比べるとネタにはなっても、人としては魅力皆無なクズを主人公に抜擢っ!!それも、飽和気味なグルメ漫画でっ!!もう不安要素たっぷりで、どうなるのか逆に気になるぐらいでしたね。
 しかし、実際に蓋を開けてみるとこれがもう面白いの何の。ハンチョウの性根の悪さを描きながらも、読者に対して説得力を与える理の適った言動を取らせる。そして、食べている時の描写が何よりも食欲がそそられる。スピンオフも、グルメものも飽和しているジャンルだからこそとにかく不安でしたが、そんなものを全く感じさせない出来でしたね。
 だが、これで終わらないのがハンチョウ。本連載に移行してからは、回を追うごとに出来が良くなっていく。ハンチョウのクズっぷり以外にも、少しホロリとさせてくれるエピソードがあったり、心に響く台詞があったりと、本編からとても想像のつかない意外な一面を見せて、飽きさせないつくりになっていますからねえ。隔週とはいえ、これをよく考えられるなと毎週感心してしまうよ。
 そして、グルメの魅せ方も他のものとは一線画す。ただ美味しいものを美味しく食べるのではなく、どこでどうやって食べるのか最高のシチェーションを作り上げたり、まさかという場所で美味しいものにありつけたりと。何から何まで魅せ方が読者の上を行くっ!!これぞ、嬉しい不意打ち!!

 目の付け所が違いが面白さを引き立たせる一日外出録ハンチョウ
 1巻は非常にもどかしいところで終わっているけど、2巻以降も非常に楽しみだ。ハンチョウの極上のグルメ外出、どんなものに出会えるのやら。