ファンタジーの観点でも楽しむ。

 たんの漫画が好きで好きでたまらない蔵間マリコです。
 皆さん、今週のパラレルパラダイスを読みましたか?今週は今までと違った流れかつ、大きく物語が進展してなかなか面白かったですよねえ。物語の設定に新たな要素を増えたり、ファンタジー的なものが見えたりとワクワクさせられるものが多くて。交尾シーンなんかも大好きですけど、やはりファンタジーの面を強調しないとね。
 というわけで、今回はファンタジーということで、パラレルパラダイスの世界に登場するファンタジー生物の原点についてでも色々と話したいと思います。ただし、あくまでも自分なりに調べたものと知識で語っているものなので、かなりいい加減です。ですので、そこのところは許してください。
 あと、ネタバレや岡本倫先生の独特の作風が入りまくりです。ですので、そういうのが嫌だという人はここまで。別に大丈夫という人はどうぞ。

 ○ドラゴン

 陽太が異世界に召喚されて、遠景から見えた生物。多分、まともに交戦することはないかもしれない。作画カロリーが明らかに高いから。数話ぐらい丸々描いたら、倫たん倒れちゃう。
 語源はギリシア語のδράκων(ドラコーン。見る、はっきりと視る、鋭い眼差を向ける)などといった意味があるそうで、今のドラゴンの読みになったのは1225年。火を吐く(火)、蛇の尾(土)、鳥の翼(空気)、鱗(水)といったものは、四大元素から来たそうだ。
 ただ、長らくはドラゴンというのは蛇に近い存在として描かれ、今のドラゴンのイメージに近いものは新約聖書のヨハネの黙示録に登場する、ミカエルに破れた十本角の赤い竜、黙示録の獣がそれに近い。

 ○スライム

 陽太が異世界に召喚されて間もなく、木の上から降ってきた生物。個人的にはスライム姦を見たいけど、とてもそんな穏やかな生物ではないようだ。
 スライムの原型となったのは、クトゥルー神話で生みの親であるH・P・ラヴクラフトの長編小説『狂気の山脈にて』(1931)に登場する古のものであるショゴス(タール状のアメーバのような不定形生物)だが、スライムという存在が確認されたのはジョセフ・ペイン・ブレナンの『沼の怪』(1958)だそうだ。
 そして、今のスライムのイメージとなったのは、言うまでもなくドラゴンクエストだが、それよりも前にウィザードリィで雑魚敵として登場したことが切欠だそうだ。ドラクエWizの罪は重たい。

 ○ウィル・オ・ウィスプ 

 特装版2巻の書き下ろし漫画の台詞のみで本編には登場していないものの、特装版1巻の設定資料集に描かれている。キャワイイ。
 語源は一掴みの藁のウィリアム(松明持ちのウィリアム)だそうで、イグニス・ファウスト(愚者の火)とも呼ばれている。ウィリアムは生前極悪人で、聖ペテロに地獄行きを下された時に、口八丁で人間として転生したが、転生した後も悪行三昧だったために地獄ではなく、煉獄に送られる。それを憐れんだ悪魔がウィリアムに1個の石炭を渡す。その石炭の燃えさしの光が、ウィル・オ・ウィスプとして恐れられるようになったそうだ。
 ちなみに現代では、ウィル・オ・ウィスプは、プラズマの類、リン化合物やメタンガスが引火したものだと、ファンタジー的見解は否定されている。ユメもキボーもないよ……。

 ○ワーウルフ

 陽太の初めてのクエストで、ミサキとともにはぐれてしまったところに現れた怪物。個人的にはワーウルフに負けて、交尾をされるミサキというパターンも見てみたかった(エロゲ脳)。
 語源は人間の男性を意味する古英語のwerに、wolfを付け加えたもの。他にも色々と意味があるようだけど、非常に面倒臭いので割愛させてもらう。
 ワーウルフの歴史は、医学が発展していなかった古代ローマ時代に、人間が狼に変身する症候群として紹介され、ギリシャ神話ではゼウスがリュカーオーン王をオオカミに変身させる話があるそうだ。他にも、古代東ヨーロッパ地方のバルト・スラヴ系民族の若者の戦士が儀礼のために熊の皮を被り、狼に変身するという風習(ベルセルク、バーサーカーの由来でもある)なんかもあり、ワーウルフの根っこの部分はなかなか奥が深いものである。

 ○エルフ

 陽太がルーミと一夜を過ごした後、ミースの街に戻る前に出会った亜人種。個人的にエルフというと、薄い本的に無理矢理エッチなことをされる、あるいは1マナを生み出す、あとは倫たんのエルフェンリートぐらいである。
 エルフの起源はゲルマン神話とするヨーロッパの妖精であり、最初期は古ノルド語でa'lfr(アールヴ)と呼ばれていたようだ。エルフのイメージは当時から強くて美しい、人間とほど同等の背格好、そして自然信仰をしていたそうだ。ゲルマン神話としては、ギリシャ神話のニンフみたいな位置づけだそうだ。
 ちなみに今の日本のエルフのイメージが完全に定着したのは、J・R・R・トールキンの『指輪物語』と水野良の『ロードス島戦記』。特に後者は、今日のエルフキャラの元祖とも言えよう。まあ、パラレルパラダイスのエルフは、猫耳ですが。

 ○八咫烏

 ミースの地縛神であり、喋る鳥のジーニアス。作画が適当なあたりが脱力する。
 八咫烏は、日本神話の高皇産霊尊が神武天皇の元へと派遣した鳥であり、熊野の国から大和の国へと案内をしながら、たびたび神武天皇を助けたカラスである。
 足が3本なのは、天地人の象徴であり、同じ太陽から生まれた兄弟の証拠でもあるそうだ。それは中国でも同じであり、奇数は陰と陽の陽を意味し、太陽に住むと言われている。そして、月にウサギが棲むのは日本神話だけでなく、中国も同じであり(こちらは陰を象徴する)、太陽と月でセットとして扱われ、金烏玉兎という故事成語がある。
 ちなみに、某RPGの大技のからすとうさぎもこれがモチーフであり、烏兎(うと)という眉間にある急所のことを指す。可愛いらしい名前だが、追加効果に気絶もしくは即死があり、なかなかえげつない技である。

 とりあえず、今回はここまで。他にもファンタジーの生物が登場しているけど、それは今度の機会にでも。
 しかし、陽太の協力者に亜人種が出てこないかなあ……。ノアちゃんは地縛神の類だけど、攻略対象じゃないキャラだし……。エルフとかがいいなあ……。