パラレルパラダイスもいいけど、こっちもね。

 たんの漫画ほど好きな漫画はない蔵間マリコです。
 さてさて水曜日ですので、いつものコーナーを更新しますよー。現在、週刊ヤングマガジンパラレルパラダイスを絶賛連載中の漫画家、岡本倫先生のスポコン漫画『ノノノノ』を徹底的に語るコーナーを。
 いや~、ついにノノノノを徹底的に語るコーナーもついに10巻に突入しました。毎週地道に更新しているとはいえ、まさかここまで続くなんて。それもこれも、たんの漫画が好きなおかげでしょうか。まだ3分の1ほどありますけど、リアルで何かが起こらない限りは完走するだろう。その後の極黒のブリュンヒルデを徹底的に語るコーナーは……、流石に180話もあるからねえ……。その時になってから考えますわ。
 とまあ、前置きはこれぐらいにして、そろそろ本題に入らせてもらいます。当然ながら、岡本倫先生の独特の作風や管理人の独断と偏見が入りまくりです。ですので、そういうのが嫌だという人はここまで。別に大丈夫という人はどうぞ。

 第98話『今日以上だよ

 ○あらすじ

 守門高校スキージャンプ部の実力をチェックするために新潟に訪れた与田と村松。
 しかし、守門高校は不正を当然とするスポーツマンシップに反するチームだった……。

 ○登場人物

 与田、村松、槇野慎二、下里広明、下里翼、園部隆、細井、野々宮悠太、天津暁
 天津敦(イメージのみ)、由良悠介(イメージのみ)

 ○ターニングポイント

 ・不利な風

 あからさまな不正行為に動揺する槇野。彼のジャンプの番が回ってくるが、明らかに悪い風のまま飛ばされ……。
 人生の先輩というポジションである以上、こういう場面だと損な役割を回されるあたり不憫。本来ならば、並みの高校のスキージャンプ選手なら余裕で勝てるはずなのだが、審判も不正を働いているのだから。明らかに新キャラのための生贄になってしまっている。つくづく槇野は、不憫な扱いだ。
 ただ、槇野もその不正行為に対して、跳ね除けるだけのパワーを見せてほしかったというのも実情。不正行為を使ったとしても、それでも覆すことができないものがある。それを証明してほしかったわけで。

 ・不正行為

 守門高校の不正行為に、申し立てをする槇野。しかし、下里コーチはそれを認めない。
 下里コーチ、やることがまさに卑怯極まれりですねえ。自分の息子の将来と槇野の過去を盾に、不正行為を良しとする。それどころか、インターハイではそれ以上の不正行為をすることを目論んでいますからねえ。たんの漫画の父親は碌でもない父親が多いが、下里広明もその一人である。
 その一方で槇野の「心は 確実に傷ついているぞ 父親から不正を教わる子供の気持ちは?」、いい台詞ですねえ。こんな方法で勝っても不正を働いている選手の心を貶めるだけだし、何よりも下里コーチ自身を貶めるだけ。だから不正を止めろじゃなくて、この台詞になったのだろう。あのオリンピックから10年経つが、槇野はかつての仲間に優しい。

 ・優越感

 結局、不正行為が行われたまま大会が続き、守門高校の下里克己が優勝する。
 不正をしたとはいえ、優勝して注目を浴びるのですから、そりゃあ嬉しいですよねえ。特に、コンプレックスとか拗らせやすいこの年頃なら。ただ、それがいずれは罪悪感に変わるかもしれないが。
 でも、ちやほやされたいというのは本当に分かる。別に不正行為をしたいわけじゃないけど、自分の作ったライトノベルを評価されたい。昔から自分は、何をやってもダメで、逆に怒られたり、馬鹿にされたりばかりだからな。だから、自分の作った作品で誰かに褒めちぎられてちやほやされいたというのはある。それが心の支えになるのは間違いないから。まあ、さっさと作れの話ですが。
 それはともかく、槇野の冷めっぷりが印象的。勝てば官軍とはいえ、不正で勝ったのだから。それに加えて、スキージャンプは詰まるところ、採点競技だからその審判だって不正を行う可能性がある。実際、今回もそれで不利なジャンプをさせられた。だからこそ案じたのだろう、槇野とともにジャンプした由良悠介と天津敦の息子に。

 ○まとめ

 守門高校の卑劣と、槇野のそれに対する憂いが描かれた回。
 次は遠野実業の伊東だが、こいつはこいつでなかなか癖が強く……。

 スポコン的悪役もなかなかと面白いノノノノ
 パラレルパラダイスたんを知った人にも、ぜひともノノノノを読んでほしい。エロメインのストーリーもいいけど、王道的な作品も描けることを理解してくれるはずだ。