アルキメデスの大戦 (2)

 後半はネタバレありの感想なので要注意!!

 邦画も良作は多いと思う蔵間マリコです。
 今日は3連休の2日目。まあ、就職活動中の自分にとっては事実上365日ですけどね。それはともかくして、3連休の2日目ということで、いつもの映画館で週刊ヤングマガジン連載中三田紀房原作の架空戦記映画『アルキメデスの大戦』を観に行きました。
 いや~、アルキメデスの大戦は楽しみにしていたんですよねえ。ヤンマガの連載陣の中でも必ず読む作品の一つであり、今までの架空戦記とはちょっと違った切り口で面白い。特に主人公の櫂直が奮闘ぶりや作者独自の見解が目に引くものがありまして。だから、必ず行くと決めていました。
 とまあ、今日の午前中に行ったわけだが、これがまあ超満員でして。やはり夏休みだからねえ、親子連れの客やカップル、その他諸々でシアターは人でごった返して。自分はネットで予約したからチケットこそ楽に取れたものの、ポップコーンを買うのに苦労しましたよ。もうちょっと早く行って余裕を持って行動をすれば良かったかもしれない。

 さて、アルキメデスの大戦の感想だけど、原作同様に面白い切り口の映画だった!!話の主題自体は比較的シンプルだけど、その御題の中で二転三転するドラマには見所があるし、終盤のどんでん返しの展開には怖さすら感じた。同じ山崎貴監督作品でも永遠の0も面白かったけど、アルキメデスの大戦も当たりだわ。
 さて、個人的に一番印象的だったのが、数学者櫂直という存在。巨大戦艦大和建造という時代に逆行した兵器の建造を防ぐために、門外漢であるはずの数学者を雇う。これでも興味深いコンセプトなのに、その櫂直の活躍ぶりがこれまた面白い。数学は嘘を吐かない、故に徹底して数学という観点で軍艦を分解する。奇天烈ながらも、その数学への異常なまでもの熱意は鑑賞者としても引き込まれるものがある。
 しかし、簡単にいかないのが大日本帝国海軍という伏魔殿。ありとあらゆる手段で櫂少佐の行く手を阻む。それは日本の危機の直面だというのに、文字通りの内ゲバの無能っぷり。それを様々な抜け道を見つけてゴールへと向かっていく。このハラハラとした展開はベタながらも嫌いじゃない。
 その櫂少佐に感化されていく人物たちも魅力的だ。櫂の才能をいち早く見出した山本五十六に、最初は嫌ってはいたが徐々に協力的になっていく田中少尉、家庭教師時代の教え子だった令嬢、海軍から追い出された造船所の社長、大和の設計者である平山中将…。特に田中少尉の櫂に負けず劣らずの奔走ぶりは見ていて気持ちがいい。
 そして、櫂少佐の大和建造派へのカウンターは見ていて面白い。卑怯な手を使っていたからこそ、櫂少佐の真っ直ぐな数学での反撃は清清しい。メッキが剥げ、ドロドロとしたものが溢れ出す建造派。そこに大和の致命的な欠陥の指摘での陥落。この流れはまさに櫂少佐の苦労が実った瞬間と思えた。
 だが、悲しいかな。現実には大和が建造されてしまう。その建造に至るまでの理由がゾクッとする。なんていうか、歴史の観点から見ても確かにそうなんだけど、それを認めてはいけない。大和に関わる者でなくとも気持ちは分かるけど、それを現実させてはならない。そういった時代の狂気が終盤に押し寄せ、櫂少佐も押し潰されてしまう。ラストのシーンは、それらが集約したものといってもいいだろう。
 とまあ、ストーリーやキャラにおいては大満足だったけど、CGや映像面ではあまりよろしくないなあと感じた。確かに大和沈没のシーンは壮絶と言えば壮絶だが、どこかちゃちさを感じてしまう。長門へ乗り込む時のシーンの背景もあまりよろしくないしねえ。今の時代だからもっと質のいいものが作れたんじゃないだろうか?

 大和建造に対しての様々な感情が入り乱れるアルキメデスの大戦
 同じ山崎貴監督のドラゴンクエストの映画が散々だったようだけど、こっちは間違いなく良作。色眼鏡を外してぜひ見て欲しいものである。

 アルキメデスの大戦の評価

 満足度 ☆☆☆☆☆
 ミリタリー度 ☆☆
 無常度 ☆☆☆☆☆