色々な角度から楽しめるのも魅力の一つ。

 骨の髄までたんの漫画を楽しみたい蔵間マリコです。
 いや~、今週のパラレルパラダイスも面白かったですよねえ。強烈な内容だった先週と打って変わって落ち着いた内容でしたけど、登場人物の心情がしっかりと描かれた足元を固める回でして。やはり、こういう回がないとあっち方面での話題ばかりになりますからね。バランスというのも重要だ。
 とまあ、大満足な内容だった今週のパラレルパラダイスですが、ちょっと今回はパラレルパラダイスの小ネタでも語らせてもらいます。ただ、今回の小ネタは今週の内容じゃなくて、作中に登場する武器に関しての元ネタの話でも。唐突もないですけど、今まで全く触れていなかった部分ですからね。やはり、ファンタジーとしてはこういうところも楽しみたいところ。
 というわけで、ここから先はネタバレや岡本倫先生の独特の作風、管理人の独断と偏見が入りまくりです。ですので、そういうのが嫌だという人はここまで。別に大丈夫という人はどうぞ。

 ○カリバーン

 ルーミの得物である剣。
 元ネタは言うまでもなく、アーサー王伝説に登場するアーサー王の剣、エクスカリバー。カリバーンは、エクスカリバーの異称の一つであり、他にもエクスキャリバーやキャリバーンなどとも呼ばれ、言語によっての表記揺れが原因だそうだ。名前の由来は、中世ラテン語で鉄を意味するcalibsの影響を受けているそうで、それが経緯を経てエクスカリバー呼ばれるようになったらしい。
 エクスカリバーというと、やはり石の刺さった剣をアーサー王が引き抜くエピソードが有名。ただ、作品によっては意味合いが揺れているようだ。エクスカリバーを引き抜き、王となったというのが一番有名だけど、湖の乙女から魔法の剣を授けたものだというのもあるようだし、そもそも石から引き抜いた剣は別物というのもあるらしい。恐らくは引き抜いて王になったという説が正しいだろうけど、こういうブレもなかなか興味深い。
 そして、エクスカリバーというと、本体とも言える魔法の鞘。これによって不死性を得たアーサー王だが、魔女のモルガン・ル・フェの策によって盗まれ、それが原因で死んでいる。ルーミのカリバーンの鞘はただの鞘のように見えるし、作中のヴォルカンの会話からしてかなりの業物のようだから魔法の鞘にあたるものが登場するかもしれない。

 ○エルフィン・ボウ

 リリアの所持する弓。
 命名自体の元ネタらしい元ネタは見つからない。あるとしても、ファイナルファンタジーⅣでエルフィンボウというアイテムが出たのが初出のようだ。だとしたら、ゲームから名前を取った可能性がある。あるいは、設定資料から想像にエルフ族から貰った弓なのかもしれない。
 それはともかく、エルフィン・ボウに使われている素材のイチイ、これは実在する植物だ。主に沖縄県を除いた日本、朝鮮半島、ロシア沿海地方に自生している。名前の由来は、アイヌ語で『弓の木』であり、ここからエルフィン・ボウの素材の設定を決めたのかもしれない。木材としては加工しやすいことが特徴であり、イチイの実も食用することができるが、種には毒があるので注意。
 エルフィン・ボウの素材が日本に自生している植物だから、そこから未来の地球であることを予想が付くことができる。実際そうであったが、細かいところに伏線があるのは面白い。

 ○大通連(ダイトウレン)・小通連(ショウトウレン)・顕明連

 ミサキの使う小刀。ダイトウレンとショウトウレンは普段使っているものであり、顕明連は懐刀として使っているものだ。
 この3本の小刀の元ネタは、実在の人物である坂上田村麻呂を反映した物語、坂上田村麻呂伝説に登場する三明の剣である。名前の由来は、仏教語の三明六通(さんみょうろくつう)から来ているものであり、現在・過去・未来を知る宿命通、天眼通、漏尽通の三種の知慧を三明と呼び、三明に天耳通、他心通、神足通を加えて六通と呼ぶそうだ。ぶっちゃけた話、神通力だそうだ。
 この三明の剣の主な所持者は、天女・鈴鹿御前。大通連と小通連は鬼神である大嶽丸が元々は所持していたが、琵琶湖で蛇の尾より取った剣とされる顕明連を以ってして弱体化させ、奪い取った。そして、三明の剣により幾度も蘇る大嶽丸を討ったそうだ。彼女の死後は、夫である坂上田村丸が鈴鹿御前を助けるために地獄に赴き、大通連で獄卒を倒し、救い出したそうだ。
 流石に元ネタと関係するようなエピソードは登場しないだろう。ただ、忍者であるミサキが伝説的な名前の小刀を使うあたり、色々と想像を膨らませるものがある。

 多角的にも楽しめるパラレルパラダイス
 正直、付け焼刃で調べたものも幾つかあるから間違った部分があるかもしれない。その時は修正しますので、報告お願いします。
 それにしても、パラレルパラダイスがファンタジーだからファンタジーの方面のことを色々と調べるようになったなあ。元から好きだけど、こういうのを調べるとより広く楽しめて気がする。やっぱり、調べるって重要だなあ。