こんなの、俺じゃねえ…!! 

 弱いからこその面白さもあると思う蔵間マリコです。
 いや~、前作も面白かったですけど、今作はそれ以上に面白いですねえ。ロボットアニメの金字塔『機動戦士ガンダム』シリーズの最新作、『ガンダムビルドダイバーズRe:RISE』が。
 今週で第7話目まで放送されましたが、予想以上に面白い。順風満帆に階段を駆け上がっていったビルドダイバーズとは対照的に、失敗や敗北を積み重ねながらも少しずつチームとして強くなっていく様は見ていて楽しい。少しずつチームメイトのことを頼りにするようになってきたヒロト、トラウマを乗り越えて翼を開いたパル、自身の弱さを認めてようやく一歩前に出たカザミ。メイはこれから描かれるだろうけど、他のキャラ同様に見応えのあるものになるだろう。
 特に、個人的にカザミは作中内での好きなキャラだ。なんていうか、リアリティのあるキャラと言いますか、等身大の弱いキャラとして描いているからこそ愛着が湧く、そして同時に耳が痛くなる。なんていうか、昔も今も自分もこんな感じだよなあと。自分もせめてカザミと同じように弱さを認めて、カッコ良さなんて捨てて立ち向かっていけるだけのものがあったらなあ…。

 とまあ、弱いながらもほんの少し成長したカザミだけど、こういう弱いキャラってどうしてか好きなんですよねえ。
 なんていうか、強いキャラが強いのは当然だけど、弱いキャラはどうやって強い敵に立ち向かうのか、あるいは自分の立ち位置を改めるのかその過程が面白くて。できれば急に強くなるんじゃなくて、今回のようにほんの少しだけ強くなるぐらいの塩梅が丁度いい。あるいは必死に戦えば勝てるんじゃないかぐらいの敵の強さぐらいで。
 例えば、嘘喰いの梶隆臣。天才的なギャンブルの腕前を持つ嘘喰いこと斑目獏とは対照的にごく普通の青年。だから、常人が思いつかないようなとんでもないアイデアを思いついたり、勝つために狂気的な策(実際は確実に勝つための手段であるが)が思いつくわけではない。生い立ちが不遇ということ以外は、そこまで変わったものを持っていない。
 そんな彼が命を賭けたギャンブルに巻き込まれた時、どう立ち向かうかが作品の見所のひとつだと思う。仲間の残したヒントを便りしたり、あるいはちょっとした変化の気付きから逆転の糸口を見つけたり。それは獏ならば、そんなものなしで解き明かせるものだろう。しかし、必死に答えを探し出して攻略する様は爽快感がある。特にファラリスの雄牛での逆転劇(と自首するように説得するシーン)は非常に面白い。
 あと、GANTZの鈴木のおっちゃんなんかも好きだったな。スーツでこそ身体能力は高くなっているものの、別にヒロイックでもないし、バーチャファイターばりの格闘家でもないし、超能力が使えるわけでもない。スーツを着た妻に先立たれた初老のおっちゃんだ。だからこそ、応援していたな。ぶっ飛んだ連中が多い中、貴重な常識人枠でもあったし。だからこそ、鈴木のおっちゃんが死んだ時はショックだったが。
 まあ、こんな感じで弱いキャラというのが好きなわけだ。まあ、弱くても学習しないキャラはさいあくなワケだが。鉄血のオルフェンズのイオクとかさ。流石にアレは酷いし、最期もあんまりすぎる。

 立ち回りや成長が楽しみな弱いキャラ。
 カザミのイベントはもう1回ぐらいは残されているだろうから、その時はどのような変化が起きるのか楽しみだ。大幅に強くなることはないだろうけど、少なくとも人並みぐらいの強さにはなるかもしれない。