ルパン三世 THE FIRST

 後半はネタバレありの感想なので要注意!!

 映画館で観るのも良いと思う蔵間マリコです。
 今日はいつものシアターでとある話題の映画を観に行きました。『アルキメデスの大戦』や『ドラゴンクエスト ユアストーリー』などで今年の邦画の話題を掻っ攫った山崎貴の3D映画『ルパン三世 THF FIRST』だ。
 いや~、色々と噂になっていただけに観に行きたかったんですよねえ。かたや漫画原作の傑作映画、かたやドラクエファンを絶望のどん底に突き落とした問題作。そんな話題に尽きない監督が作るとルパン三世はどうなるのか気になる人もいるはず。自分もその一人だ。
 そんな話題作を観に行ったわけだが、ちょっと辛いことが一つありまして。脂肪肝ということもあって、今まで買っていたポップコーンが食べられない。我慢して緑茶だけにしましたよ。まさか、こんなところで楽しみが一つ減るなんて。悲しいよ…。

 さて、 ルパン三世 THF FIRSTの感想だけど、びっくりするほどルパン三世な映画だった。シティハンターの映画の感想で「ラーメン屋に行ったら、ラーメンが出た」みたいな感想があったけど、まさにそれ。まあ、それが東京ラーメンか八戸ラーメンか尾道ラーメンかの好みの違いはあるだろうけど、少なくとも自分にとっては安心感のある出来だった。
 個人的に今回のルパンの一番の見所は、一般的に人気の高い宮崎駿のルパンをリスペクトしているところ。宮崎駿というとルパン三世PART1およびPART2カリオストロの城でも有名だけど、山崎貴ルパン三世はそこに強く影響している。ヒロインのレティシアのルパンへの憧れに近い感情に、空中遊泳をするルパン、機動隊が片側に集まりすぎて傾くボートなどなど…。まさに宮崎駿テイストがこれでもかというぐらいに盛り込まれている。
 特にニヤリとしたのは、ギガント対ソードフィッシュ。初登場シーンを見て、どこかで見たことあるなという程度だったけど、ギガントとソードフィッシュがドッグファイトするシーンが始まると「これ、宮崎駿だ!!」と思わず微笑みましたね。『風の谷のナウシカ』にも登場してきたあの馬鹿でかい輸送機に、『紅の豚』や『風立ちぬ』など多々登場する複葉機。宮崎駿のルパンを楽しめている自分としては最高のサプライズですよ。まあ、宮崎駿ルパンを邪道と思う人にとっては鼻に付く描写かもしれませんが。
 宮崎駿成分以外に関しても、個人的にはルパンと敵との駆け引きの部分も見所の一つだと思う。ナチス復活のために暗躍するナチス残党に対して、あの手この手で出し抜くルパン一行。これもお約束ではあるんですけど、これをしっかりやってくれているから安心して観ることができるんですよねえ。それも敵側は清々しいほどの悪役だからこそ、スカッとするわけで。
 と、全体的に基本的な部分は非常に面白いんですけど、その一方で戦闘シーンにもう少し力を入れても良かったんじゃないかなと残念に思う。なんていうか、早送りとかダイジェストとかカット的なものになっているんですよねえ。いや、動き自体は躍動感があるんだけど、上映時間の割合から見ると少し物足りなかったなあ。
 あと、ラストがちょっと微妙かな?いや、レティシアとの別れ自体は良いんだけど、エンディングに入るところが尻切れトンボ的になっちゃっているんだよねえ。これで、せめてエンディング後にエピローグでも入っていたら余韻があったと思うが…。

 ルパン三世らしさが3Dでもしっかり描かれていた ルパン三世 THF FIRST
 個人的にはここ数年のTVSPなんかよりもずっと面白い。ドラゴンクエストユアストーリーで失望した人も、観に行ったほうがいい。山崎貴に対しての評価が変わるかもしれない。

  ルパン三世 THF FIRSTの評価

 満足度 ☆☆☆☆
 ルパン度 ☆☆☆☆
 クラシック度 ☆☆☆☆