噂どおりの面白さだった!! 

 エンターテイメント性は重要だと思う蔵間マリコです。
 いや~、先日放送された魔夜峰央原作の映画『翔んで埼玉』が腹が捻じれそうなほどに面白かったですねえ。上映当時、なかなかの傑作という噂を耳に入れてたんですけど、結局は観に行かなかったからな。正直、話題になっている時に観に行かなかったことに後悔しているぐらいだ。
 埼玉出身でありながらもその素性を隠している麻実麗と東京都知事の子息である壇ノ浦百美、最初は百実が敵視していたものの、麗の実力と魅力に見惚れ、仲を深めていく。そこから始まる逃避行。そして、衝撃的な結末。埼玉県(及び神奈川県以外の関東圏内の)disりネタをはじめ、ギャグあり、SFあり、BLあり、ホラーありとなんでもありの展開で大爆笑だ。
 特に自分がこの作品を観て注目したのは、SFの要素。東京都がヒエラルキーの最上位で、埼玉県が馬鹿にされていることをネタに、圧制者側と被虐者側として描かれている。それはまるでディストピア系SFさながらだ。そして、そこから東京都へのカウンターがあるからスカッとして気持ちが良い。よく言われている話をトンチキな世界観にまで昇華させる。これはブレードランナーニンジャスレイヤーなんかでも言えるけど、しっかりディティールを抑えているからこそできる物語だ。ここまで本気で馬鹿をやって面白い邦画が観れたことに感謝したい。

 とまあ、史上最大の茶番劇を堪能した先日の夜ですが、邦画も決して悪くないと改めて実感する。
 洋画に比べるとボロクソに言われたり、凋落ぶりが酷い邦画だけど、翔んで埼玉のように名作だってある。自分がここ数年で観た映画だったら、アルキメデスの大戦孤狼の血あたりが個人的にお勧めかな(後者はヤクザ映画だから人を選ぶし、広島県人だからこそのチョイスだが。)。探せばいくらでもいい作品は見つかる。ただ、それをするほどの気力がないというのが普通の人の考えだろう。だから、改善すべき点は幾つかあるだろう。
 例えば、役者や事務所ありきのキャストとストーリー。確かに一定の層には響くだろう。しかし、肝心の中身や演技はどうなのか?そこが蔑ろになっている作品が多い。重要なのは見栄えではなく、話として本当に面白いものかどうか、そこに尽きるだろう。これが改善できれば、邦画の人気だって満遍なく売れるものになるはず。もっとも、推したい事務所にメリットがないからそういう企画はボツになるのが目に見ているが。嫌な話である。
 あと、観に行く気を失くすような広告やCMは止めたほうがいいと思う。今で言うと某ホラー映画のTVCMとか。あんなんやったら本来ホラー映画を観に行く層だって逃げちゃうし、あれでJKが観に行くとも思えないのだが。それならば、ホラー映画はホラー映画らしく、そこに尖ったCMを作ったほうが余程集客が見込めるのではないのだろうか?人気があれば、口コミで人気が広がっていくんだし。素人考えだから無責任かもしれないが、自分だったらここは真っ向勝負をするぞ。

 洋画にも負けない面白さの作品もある邦画。
 年に10回ぐらいは映画を観に行くけど、これから先、どれだけ多くの素晴らしい邦画に出会えるのだろうか?1日でも早く出会いたいものである。