さて、新しいカードで環境がどのように変化することか…。

 早く公式の大会ができるようになってほしい蔵間マリコです。
 いや~、マジック:ザ・ギャザリングの最新エキスパンション『カルドハイム』のプレリリース発売日まで6日に迫ってきましたねえ。残念ながらプレリリースイベントそのものはコロナ禍で中止になりましたけど、それでも本発売日よりもいち早くカルドハイムに触れられるのは嬉しいこと。きっと、ゼンディカーの夜明けとは違う驚きに出会えるだろう。
 さて、そんな発売日が待ち遠しいカルドハイムですが、今回はカルドハイム強カード予想ベスト5+αを考えてみました。全体的にカードパワーが高く、トーナメントで大暴れしそうですが、その中でも明確に強いと言えるカードがありますからね。MTGのプレイヤーとしては、注目のカードというものは語りたいものですよ。
 というわけで、MTGのプレイヤーは勿論のこと、そうでない人もぜひ雑感を見てMTGに興味を持ってくれると光栄です。それでは、今回もどうぞ。

 第5位 シュタルンハイムの解放の解放

 新メカニズムの予顕を搭載した白のソーサリー。
 生撃ちだと4マナ4/4飛行警戒の天使トークン1体と『セラの天使』と同程度のパフォーマンスの呪文になるのだが、予め予顕コストを払い、予顕でプレイした場合、3マナで天使トークンが1体、5マナで2体、7マナで3体…といった具合に増えていく。裏面が土地だから単純比較はできないが、ゼンディカーの夜明けの『エメリアの呼び声』が8マナで天使トークン2体だから、いかにシュタルンハイムのコストパフォーマンスが高いかが窺えるだろう。きっとコントロール系デッキのフィニッシャーとして使われるだろう。

 第4位 巨怪な略奪者、ヴォリンクレックス

 北欧神話モチーフの次元に突如として現れた、新ファイレクシアの緑の法務官。
 6マナ6/6速攻トランプルと生物としても優秀な性能だが、注目べきはカウンターに関する2種類の能力。一つは、カウンターを1個置く代わりに2個置くという『倍増の季節』のカウンター部分のみを抽出した能力。クリーチャーに置かれるカウンターは当然のこと、PWのカウンターまで倍になってしまうのだ。今のスタン環境で言えば、『精霊龍、ウギン』との相性が最高だろうか?いきなり奥義を撃てて、そのままゲームエンドに繋がるかもしれない。
 もう一つは、対戦相手のカウンターを乗せる量を半分にしてしまう能力。具体的に言えば、通常時にカウンターを1個乗せる時は何も乗らなくってしまう。英雄譚のようにゆっくりとカウンターを乗せるカードが全く役に立たなくなるのだ。今大暴れしている『エルズペス、死に打ち勝つ』や『アクロス戦争』あたりがそれだろう。ただし、『九つの命』を出されると泣きたくなるが。

 第3位 嘘の神、ヴァルキー

 カルドハイムの嘘を司る神…に扮したPW、ティボルト。初登場時の彼はカスレア兼最弱PWとして有名だが、今回は全く違う。
 表面は2マナ2/1に『村八分』相当のナイトメア能力。これだけならば、歴代のハンデス系ナイトメア能力持ちに劣るのだが、追放したクリーチャーにXマナ支払って化けられる点が他とは違う。これによって、貧弱なボディがムキムキマッチョになるだ。今の環境ならば、『死の飢えのタイタン、クロクサ』が狙い目だろうか?
 裏面は、『星界の騙し屋、ティボルト』。こちらは史上初、戦場に出た時に紋章を得られる能力を持つ。紋章の効果は、星界の騙し屋、ティボルトの能力で追放したカードを色マナ問わずに唱えられるというもの。忠誠度能力は小プラスで全てのプレイヤーのライブラリートップ追放、小マイナスでクリーチャーもしくはアーティファクトの追放、そして奥義ですべてのプレイヤーの墓地追放+赤赤赤マナ加速。即座に勝負が決まる能力ではないが、どれも強力な能力だろう。ただし、赤黒5マナと非常に重たいが。
 ちなみに、このカードは裏技的なことが使える。表面が2マナのため『夢の巣のルールス』を相棒にした状態で裏面で出せるし、『白日の下に』や続唱持ちのカードでこのカードを出した時、コストを踏み倒して裏面で出せるのだ。流石は嘘の神、やることがズルい。

 第2位 ドゥームスカール

 カルドハイム産の『神の怒り』(以下、ラスゴ)。MTGを知らない人に軽く説明すると、場にいるクリーチャーを自他全て破壊するもの。遊戯王で言うところのブラックホールだ。
 生撃ちする場合は5マナと重たいラスゴになるのだが、予顕で先払いしておくと3マナでラスゴを唱えることができるのだ!!とにかく前のめりなデッキが強い現スタン環境のストッパーとして大いに役に立つのだ。ただし、1ターンのタイムラグがあるし、4ターン目のアクションがラスゴに比べて弱くなるのが欠点。それでも3マナで撃てるラスゴは、アグロ系のデッキ最大の脅威になるに違いない。
 ところで同じ3マナにかつて『バントゥ最後の算段』というラスゴがあった。こちらは元のマナコストが3マナとドゥームスカール以上に軽いリセットカードだった。しかし、次のターンに土地がアンタップしないという致命的なデメリットを抱えていた。先に払うか後で払うか朝三暮四ではあるが、こうも評価が違うとは面白いものである。まあ、黒はクリーチャー除去が得意な色だしね。デメリットを受け入れてまで使う必要はないだろう。

 第1位 語りの神、ビルギ

 今回禁止カード筆頭とも言える両面カード。
 表面は3マナ3/3と生物としては平均的な性能だが、重要なのは呪文を唱えるたびに赤マナを生み出す能力。これによって1マナ呪文はフリースペルになるし、0マナ呪文やピッチスペルに関してはマナ加速というとんでもない現象が起きるのだ。スタン環境だとそこまで暴れないだろうけど、下環境になればなるほど大暴れするのが目に見えている。青赤ストームで呪文のプレイ回数を増やしても良し、赤単果敢で0マナからマナと手札が増え続ける現象を体験しても良し、『死の国からの脱出』と『燃え立つ調査』で即死コンボを狙っても良し。ヴィンテージでなら『Black Lotus』から出してMOXでマナを増やすのなんてこともできる。もう一つの能力の誇示の追加は気にしなくてもいいだろう。
 裏面の『芳醇の角杯、ハーンフェル』は手札を1枚捨ててライブラリートップ2枚追放してターン終了時までプレイ可能。『実験の狂乱』に近い性能だが、こちらは土地が1枚捲れても手札がある限りは詰まることがないものとなっている。先ほどの赤単果敢とならば、『突破』や『魔力』あるから種はいくらでも足りるだろう。そして、表面とも相性がいいのも注目すべき点だろう。
 多分、語りの神、ビルギは禁止になるだろうな。裏面単体ならともかく、表面があまりに強すぎる。土地が全てタップ状態からマナを生み出す手段があるんだからさあ、絶対に3マナで刷ったらいけないカードなのに。

 番外編 牙持ち、フィン

 2マナ1/3接死に、接死持ちはプレイヤーにダメージを与えた時に毒カウンターを2個乗せるバフを与える妙なクリーチャー。
 いきなり毒カウンターのキーワードが出たのにはビックリである。それも10回殴らないと毒殺できないところを接死持ちならば5回で毒殺可能と大幅に性能向上している。流行らないと思うが、それでも非常に面白いカードである。

 これが個人的にカルドハイム強カードベスト5+αである。
 さて、注目したカードがどれだけ活躍するのだろうか?個人的には価格高騰しない程度に活躍してほしいところだが、そうはいかないだろうなあ…。