極黒のブリュンヒルデの全部

 名残惜しいなあ……。

 今までも、今も、これからも岡本倫の漫画を愛したい蔵間マリコです。
 さてさて、前回の続きを書きますよー。今週、コミックス17巻と最終巻が発売した岡本倫の純愛ダークファンタジー漫画『極黒のブリュンヒルデ』の感想を。
 先日はコミックス17巻の感想を書きましたが、今回は最終巻の感想。創作物だからいずれ終わりを迎えるのは分かっていますけど、こうやって極黒のブリュンヒルデの最終巻の感想を書かないといけないのは辛いですねえ。それも不本意な形での連載終了ですから。でも、岡本倫先生のいちファンとしては、この現実を受け入れなければならない。そして、それを感想という形で残さなければならない。それがこのブログの主旨ですから。まあ、そんなに角張った感じじゃなくて、書いている時は楽しく書いてはいますけどね。たんの漫画の話題をするのに、暗くてどうする!!
 とまあ、前置きはこれぐらいにして、そろそろ本題へと入らせてもらいます。当然ながら、ネタバレや岡本倫先生の独特の作風、管理人の独断と偏見が入りまくりです。ですので、そういうのが嫌だという人はここまで。別に大丈夫という人はどうぞ。

 極黒のブリュンヒルデコミックス最終巻ですけど、最終巻もやはりかなりの加筆修正量で掲載時と別物になっていましたねえ。ただ、新しいシーンの追加によって変化した17巻とは違って、細かい変化の積み重ねによっての別物になったという感じかな。まあ、数点の不満点はありますけど、それを少しでも解消しようと姿勢には好感を持てましたね。
 まずは、主に目立った加筆修正については二つある。一つは五十嵐と鷹鳥小鳥の最期の加筆修正についてだけど、掲載時に比べるとかなりまともになりましたね。五十嵐が黒い水に飲み込まれるシーンで小野寺も運命を共にすることによって、問題になっていた世界がヤバイというのを解決、小鳥ちゃんの今際も天文台にいた小鳥ちゃんを髣髴させる台詞を言わせることによって、短い期間ながらも存在感を与えている。特に小野寺の最期は、17巻で五十嵐の出番が増やされているから納得のいくもの。単に形式的な退場から、意味のある死にはなったと思いますね。
 もう一つは同じく17巻で加筆修正されたエッダ絡みの加筆修正。佳奈たちの永遠の別れから、ラストのシーンにかけて色々と加筆修正がされている。佳奈たちとの別れも掲載時と違って唐突なものでないし、やり取りをちゃんと描いているからいい具合に溜めになっている。全く描かれていなかったエッダもどのようなものかも物質的なものとして描かれているから、説得力を与えている。ここら辺は本当に良かった。
 そして、ネットでも騒がせていたラストのシーン。これについては賛否両論かもしれないが、自分にとっては嬉しい加筆修正だったな。(自分は分かっていたからどうでもいいが)ラストの謎の少女の正体も明らかにしたし、最後の見開きページでは遠景でアフロディーテと何者かの影が映っていましたね。アフロについては、奈波が記憶を消したとか言っているが、完全に消すこと出来なくて残り香として残ったのだろう。影については確定的な答えは出せないが、恐らくはドレスデンの地下にいたほうの小鳥ちゃんかと。どちらにしても、自分は救いがあって嬉しい加筆修正でしたね。
 とまあ、ここら辺が大きな加筆修正について。ここから先は細かい加筆修正についてだが、こちらに関しては不満に残っている点かな?
 細かく書くと非常に長くなるので箇条書きをすると、

 ・土屋さんのエッダの情報の手に入れ方
 ・小野寺の隠している孵卵について
 ・良太父との決着の着け方

 掲載時だと、全く触れられないまま終わった3つの問題点にテコ入れしているのは分かる。ただ、なんていうかこれら全部がまるでノルマを達成するかのような描かれ方というのが納得いかない。いや、尺の関係でそうなっちゃうのは仕方ないというのも分かるよ。でも、(明確には語られていないが)土屋さんが体を売ったらエッダの情報が手に入りましたじゃあ良太パパンが更に残念すぎるキャラになっちゃうし、孵卵を防ぐ方法が結局語られなかったし、やはり良太パパンの過去が描かれていないから最後までもやっとしたキャラになってしまった。
 その中でも良太パパンの過去は、物語の根幹に関わる部分だし、良太ママンのキャラにも影響する部分なのにねえ……。値段を上げてもいいから、20ページぐらい追加してここのあたりを解決して欲しかった。
 これ以外の細かい加筆修正と言うと、小鳥ちゃんがいたS7ブロックに飛び込むシーン。この場面で発砲されているけど、掲載時では薬莢がついたままと初歩的なミスを犯していたが、コミックスでは直っている。流石にこれを直さないと、エルフェンリートウォーターライン事件の二の舞ですからねえ。当たり前だけど、こういう小道具の造詣を持って調べて欲しい。
 とまあ、本編についてはこれぐらいで気まぐれキャラ紹介ですが、最終巻はなし。代わりに、寧子が手を振っているものに。いや、別にこれが悪いわけじゃないけど、最後まで気まぐれキャラ紹介のなかったフリストがあまりにも不憫です……。ロキに食べられるためだけに生まれてきたキャラって……。
 そして後書きですけど、これはちょっと寂しいかなあ……。最後なんだから作品のことについて方って欲しいと思ったんですけどねえ。作品に対する情熱がなくなったのだろうかと思うような寂しさを覚えた。

 最後まで楽しませてもらった極黒のブリュンヒルデ
 これで極黒のブリュンヒルデはひとまず終了。ただ、エルフェンリートみたいになんか別の機会で特別編が描かれるかもしれない。その時は、今回と同じようにガッツリと感想を書くかもしれない。いや、書くであろう。
 そして、岡本倫先生。4年3ヶ月の間、極黒のブリュンヒルデを十二分に堪能させてもらいました。こんなに素晴らしい漫画と遭遇したおかげで、様々な思い出を貰いました。次回作に作ると思われるであろうラブコメ漫画も、極黒のブリュンヒルデに負けないだけの作品になることを期待していますよ。
 
 最後に、一言。
 岡本倫先生、お疲れ様でした。